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武…じゃないんだもんね 幼馴染みの男を事故で亡くした女と、その事故の加害者で亡くなった男が乗り移った男との奇妙な関係を描いた作品。 壮大な設定を掲げた事で満足してしまうのだろうか、スピリチュアルな事をテーマとした作品は割と物語自体は似たり寄ったりになってしまう事が多いような気がする。しかし本作は少しばかり様相が異なる。それが本作の価値となっている事だろう。 グルメ雑誌の記者の瑠璃とナポリ食堂の経営者兼シェフの武は幼馴染み。瑠璃は武が以前に働いていた店のシェフで武の師匠である水沢とつき合っていた。水沢からプロポーズされていた瑠璃は、その返事をしなければならなかったある夜、意見を聞こうと武に電話する。しかし武は店が忙しく、電話に気付かなかった。店が終わり瑠璃の留守電を聞いた武は慌てて瑠璃と水沢がいるレストランへと走る。武が到着した時、瑠璃と水沢が丁度レストランから出てくるところだった。瑠璃に話し掛けようとする武。その時、ビルの上から男が落ちて来た。そこへ向かった武は、その男に当たって死んでしまった。落ちて来た男はずっと意識不明だったのだが、1ヶ月後に目を覚ました。しかし男は自分が誰なのか分からなかった。 本作で浮き彫りとなるのは意識の違いである。それを男女の違いだと受け取る事が出来る。現実的に先を見据えて白黒ハッキリさせたい女と、現状に満足して変化を拒み、グレーでぼかしたい男。このような性別での性質の違いが感じ取れる。 だが、男女の違いではなく単純にボタンの掛け違いだと解釈する事も出来る。もしかしたら、そうした少しのズレが取り返しのつかない事態を招いているのかも知れない。しかしボタンの掛け違えは、しっかりと確かめさえすれば正常な状態に戻す事が出来る。しかも決して難しい作業ではない。難しくなっているのは手元を疎かにしているからだろう。 作品タイトルが示すとおり、本作は食が大きなポイントとなる作品である。そういった観点からしてみても、健康的で食する姿が絵になる相武紗季のキャスティングは大正解だと思う。 |
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★前田有一の超映画批評★ |
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