自分勝手な映画批評
刑事物語2 りんごの詩 刑事物語2 りんごの詩
1983 日本 106分
監督/杉村六郎
出演/武田鉄矢 酒井和歌子 園みどり

東北に咲いた美しく悲しい花

刑事物語シリーズ第2弾。りんごの花と酒井和歌子の儚い美しさがシンクロする。

前作に比べ陰気なハードボイルドさは潜めたが、逆にエンターテイメントさが増している。エンターテイメントが増した事由としては蟷螂拳(とうろうけん)と刑事物語の代名詞、ハンガーヌンチャクが前作以上に大きくフィーチャーしている事が挙げられる。1970年代中盤から80年代中盤はジャッキー・チェンの映画の全盛。刑事物語シリーズで主人公が中国拳法を操るのもそういう世情が関係しているのかもしれない。子供との早朝の練習シーンはカンフー映画、更には「ロッキー」の影響を受けているようにも感じる。

前作ではあまり見られなかった風景描写が本作では存分に楽しめるのだが、東北の美しい風景が逆に悲しい物語を一層強調する。

役者としての本能なのか計算されたアイデアなのか武田鉄矢の表現力は独特だ。ラストへ続く少年とのシーンは他に見ない大人の愛情表現が描かれている。


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