自分勝手な映画批評
華麗なる大泥棒 華麗なる大泥棒
1971 フランス 117分
監督/アンリ・ヴェルヌイユ
出演/ジャン=ポール・ベルモンド オマー・シャリフ
アザド(ジャン=ポール・ベルモンド)達4人は邸宅に押し入り、金庫の中にあるエメラルドを強奪しようとする。その家の前をザカリア刑事(オマー・シャリフ)が通りかかる。

クセ者同士の知能戦

泥棒一味と悪徳刑事の攻防を描いた作品。

ルパン三世のモデルはジャン=ポール・ベルモンドだそうだ。その理由が何となく分かる、ルパンテイストが感じられる作品だ。そんな観点で観ると、オマー・シャリフ演じる悪徳刑事も、どことなく銭形警部に見えてくる。もっとも、そんなイメージを持たなくても、男前でスマートな立ち振る舞いと、嫌らしい悪どさをを合わせ持つオマー・シャリフの演技は大層魅力的だ。

ちょっとズレたセンスを感じるのは本作の特徴ではないかと思う。それは多分に時代が影響していると思うのだが、単に時代遅れだと片付けてしまうのは、少し惜しい気がする。ちょっと芯を外したようなセンス、二枚目半的なセンスだと感じれば、とても魅力的な味に感じる。それはベルモンドやシャリフの演技、あるいは演じるキャラクターの魅力であり、ルパン三世の世界に繋がる魅力であると思う。

決して真っ当ではない者同士のポーカーフェイスな大人の駆け引き。腹の内を探られないように、咄嗟のアドリブで、その場を取り繕う泥棒と、それでもジワリジワリと締めに掛かる円熟した刑事。だが、シリアス一辺倒ではない。どこか抜けているユーモラスさは、遊び心を持つ大人な味わいにも感じる。

時間をかなり割いた、しつこいぐらいのサービス精神を感じる迫力のカーチェイスは、本作の見どころの1つだ。


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