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男は黙って背負って勝負に挑む 強者の理論に振り回された殺し屋の復讐劇を描いた作品。裏稼業に生きる男のストイックさと哀愁が、モノクロの映像を通じて、実に味わい深く、スタイリッシュに描かれている。 とにかく、宍戸錠が渋く、カッコイイ。彼の演じる上村の無駄口も笑みもない、男気あるキャラクターは、設定だけ追えば、一本気なヤクザ風情になってしまいそうだが、彼の個性がそれを打ち消し、アンニュイなハードボイルドを上手く表現している。 さらに上村の弟分を演じるジェリー藤尾が、その雰囲気に拍車を掛ける。彼も、どこかで見たような舎弟風情ではない。この少々バタ臭い二人の個性が、どこか邦画らしくない異国情緒、まさに無国籍感を魅力的にもたらしている。 また、用意周到なプロフェッショナルに徹する仕事振りの丹念な描き方も良い。日活には、宍戸錠以上にもてはやされたスター俳優は多くいるが、本作のような、プロフェッショナルなスペシャリストな役柄は、彼が一番適していたのではないかと思う。 本作には、荒唐無稽に感じる部分もあり、リアリティーの面で言えば、現代の規準はクリア出来ていないと言えるだろう。だが、その自由な発想力を基調としたセンスが魅力的な世界を生み出したと言えるのではないかと思う。 どちらかと言えば都会的で、クールでシックな映像に、西部劇を思わせるような寂し気なメロディーは、本来ならアンバランスであるのだが、何故か妙にマッチする。 |
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★前田有一の超映画批評★ |
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