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愛は与えてはじめて愛である 武田鉄矢流の美学をハードボイルドタッチで描いた傑作。今でこそ武田鉄矢=金八先生だが、当時、まだ金八は当たり役のひとつ位の認識だったであろう。 映画のタイトルやハットにスーツの出で立ちからどうしても松田優作の探偵物語を連想してしまうが、スーツの色から体のサイズ、何から何まで対称的である。が、しかし本作の武田鉄矢は松田優作にも劣らない狂気を披露している。 武田鉄矢を語る上で外せないキーワードは、失礼な言い方であるがブサイクである。武田はブサイクをカッコ良く演じるのではなく、ブサイクをブサイクに演じる。 武田の属する海援隊の「贈る言葉」は失恋の曲だ。去り行く愛する人に悲しみこらえてカッコつけて微笑むよりも、涙かれるまでブサイクに泣く事を良しとする。その美学が本作でも描かれている。そんな人物を主役に供えるなら、あたかも脇役が主役となるような不思議な哀愁が漂う。「男はつらいよ」にも相通じる美学である。 主題歌「唇をかみしめて」は名曲。不器用な九州男子の物語のラストシーンに何故か吉田拓郎の広島弁がよく似合う。 |
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