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ウブな華を囲んだハードボイルドな世界 原作は北方謙三。本作は1980年代に多く製作された角川の看板女優を主役に据えた一連の角川映画のひとつである。但し、本作の実質的な主役は永島敏行と言えるだろう。 裕次郎の時代、日活黄金期を彷佛させる、洒落を効かせたハードボイルドな作品に仕上がっている。訳ありのバーのマスターというのはどこかで聞いたことのある設定だが、それほど気にすることもないだろう。この手の作品は何よりセンスが重要なポイントとなる。カッコ良く見えるのか? カッコつけてるように見えるのか? その違いが作品の出来を大きく左右する。 私には永島敏行という俳優に洒落た雰囲気は感じない。正直、永島敏行がこの手の作品に適任かと言えば、私は疑問に思う。彼の良さは違うところにあるような気がするし、彼の演じた田村という役にもっと適した俳優はいると思う。例えば柴田恭兵あたりが演じれば、もっと軽妙さが加わったのではないかと思う。しかし、本作の永島敏行は悪くない。彼の朴訥さは、けれんみのない骨太なリアリティをもたらしている。 菅原文太はもとより、室田日出男、成田三樹夫といったそこにいるだけで存在感があり、ハードボイルドな作風にピッタリな脇役陣が本作を引き締めている。総じて大人なキャストの中の原田知世の存在は、彼女が主演の作品でありながら違和感を感じる。しかし、その違和感が重要なのであり、もし馴染んでしまっていたら黒いドレスの女の意味はなくなるのだと思う。 |
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