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異端だからこそ生まれた傑作 日本では「マカロニ・ウエスタン」と呼ばれるイタリア製作の西部劇。黒澤明監督作品「用心棒」のリメイク。 イタリア製作の日本映画のリメイクの西部劇といったらゲテモノ感タップリだが、なかなかどうして、ほぼすべてが良い作用をおこして素晴らしい作品に仕上がっている。もしかすると学術的には正しくないのかもしれないが、ラテンという共通点がイタリアとアメリカという遠く離れた土地であるにもかかわらず、違和感をなくしているように思える。このラテンの香りは本作に特有の哀愁を印象づけている。 そもそも哀愁の根源は作品の内容だ。本作は正義が悪を倒すという単純な図式ではない。主人公ジョーはヒーローであるのは間違いないのだが、善とは言い切れず、だからと言って悪ではない。このヒーロー像が本作の核と言えよう。わかりやすい正義の味方ではお子様っぽく物足りない。だからといって悪者が主人公では物語は成り立たない。利己と利他が混在は大人が理解し得るリアリティを感じさせる。ならば親近感があるかと言えばそうではなく、ヒーローの存在感で寄せつけない。「男は黙って…」のお手本のように無口で渋い主人公。彼の出処はわからない。しかし多くを経験してきたことは彼の変わらぬ表情が物語っており、それがまさに哀愁である。 そんな主人公を演じるクリント・イーストウッドが文句なくカッコイイ。一匹狼でニヒルな主人公ジョーはイーストウッドの長身・細身な風貌と煙た気な表情に実にマッチしている。無口で表情の変化に乏しい主人公がサイボーグのように無機質にならないのは、彼の存在感という演技力の賜物だろう。 全編に流れるエンニオ・モリコーネのドラマティックな音楽も本作のクオリティーには欠かせない。 |
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