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技術の進歩が産んだ問題点 舞台は2019年のロサンゼルス。作業用に開発されたレプリカント(人造人間)の反乱者とそれを追うブレードランナー(捜査官)を描いた作品。 舞台はロサンゼルスなのだが、太陽が照らすイメージとは異なり、暗く雨が降り続けている点で現在とは違う環境だとまず感じる。SF作品の肝はリアリティーだと思うが、スターウォーズがまるで別次元の世界を描いたのに対し、本作では片足を現代に残す事でリアリティーに迫っている。しかし現代的な部分も東洋や中近東的な描写や群集の喧騒で別世界が表現されている。この舞台・美術・イメージ設定は私の知る限りテレビシリーズの「ダークエンジェル」、同時期に公開された「マッドマックス」シリーズ、アニメ・コミックの「コブラ」「攻殻機動隊」「カウボーイビバップ」にも多かれ少かれ共通するイメージがあると感じる。技術発展、特にコンピューターの発展で現代ではSFとは呼べないようなアイテムが氾濫し、現代劇では欠かせない存在となっているが、だからこそ皆同じような描写になってしまいイメージ的な差異は感じられない。本作のイメージは異質。しかも質が高い。コンピューター技術に頼れないからこそ異質であり、作り手のこだわりがリアリティーを呼ぶのだと思う。この描写を見るだけでも価値がある。 現代、情報技術の発展は生活を豊かにする反面、多くの解決できない問題を露呈しているように、技術の進歩には表と裏がある。本作で描かれているのは人造人間の生死だが、今後も続くであろう人類の課題である。 本作ではスターウォーズのようなレーザービームが飛び交う派手なアクションはないのだが、現代劇以上に肉迫した生死をめぐるアクションシーンは見物。 |
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