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この世に悪い動物なんていない 農場に引き取られた子ブタの姿を描いた作品。 「動物と会話が出来たら…」なんて考えた事がある人は多いのではないかと思う。本作でも登場する人間と動物とが会話が出来ている訳ではないのだが、動物の感情が言葉で表現されているのは嬉しいし、何より微笑ましく感じる。あえて物申せば、人間と動物が話せないのなら、違う種類の動物同士でも話せないのではないか?と思うのだが、その辺りは心にしまっておいて良いだろう。 本作の主人公は子ブタのベイブ。人間の気まぐれで養豚場から農場へと引き取られたベイブは、その農場で多種・多数の動物と接し、生活を共にして成長して行く。 本作で動物たちのチャーミングな姿に心を奪われるのは必至であろう。すべてが本物ではなく、特種効果も織りまぜてはいるのだろうが、彼らの名演には心が和むし感心もさせられる。また、裏側まで読み取れば、制作者の素晴らしい努力や技量を感じる事は容易いであろう。 ただ、単に可愛いだけで終わらないのが本作の優れたところである。本作には様々なメッセージが含まれているだろう。そして様々な受け取り方も出来るのだと思う。動物と人間の関係はもちろんだが、本作で描かれている動物たちの社会を人間社会に置き換える事も可能であるだろう。そう考えれば、随分と考えさせられる作品であり、また、随分と教えられる作品であると思う。 そういった事を踏まえると、本作は子供だけをターゲットにした作品だとは言えないだろう。子供がターゲットに含まれるのは間違いないのだが、本作で掲げたシンプルでストレートなテーマは全世代共通で普遍であると思う。そして付け加えるなら、このようなテーマを伝える舞台としては、ファンタジーやアニメーションが適しているように感じる。 農場の主人を演じるジェームズ・クロムウェルが良い。彼が木訥な役柄をしっかりと素晴らしく演じた事で本作の魅力が高まったと言えるのではないかと思う。彼はテレビドラマ「24 −TWENTY FOUR−」での悪役振りも見事ではあったが、本作のような違った役柄にも彼のキャラクターがマッチするところをみると、俳優として貴重な存在なのではないかと感じる。主人とは対極な賑やかな妻を演じたマグダ・ズバンスキーも良く、アンバランスな夫婦のコンビネーションは抜群である。 老若男女を問わず楽しめて心に染み入る要素が存分に詰まった本作は、中々の秀作ではないかと思う。 |
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