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実話ベースの巧みなクライムサスペンス 1971年にロンドン・ベイカーストリートで実際に起きたウォーキートーキー強盗をモチーフにした作品。ウォーキートーキーとは日本で言うところのトランシーバーのこと。それが事件のキーポイントとなる。また作中登場するMI−5という団体はイギリス国内の治安維持を目的とした情報機関。ちなみに007/ジェームズ・ボンドの所属するMI−6は国外の諜報活動を行う機関。 登場人物は多彩だ。切り札を持つ為に我が物顔でカリスマ気取りの悪人、大ぴらに出来ない問題の対処に悩む政府機関、弱みと引き換えに仕事を引き受ける女、借金苦の男、裏社会を牛耳る男、悪徳警官、叩けば誇りが出る国会議員等、それぞれの立場と思惑が巧妙に交錯し物語を構築する。これだけ複雑なのだが難解にはならず、しかも2時間の枠にキッチリと収まっている点も素晴らしく、テンポの良い進行で観る者をのめり込ませて行く。 また、1971年という時代設定がキーにもなっている。実話を元にしているということなので、揺るがすことのできない設定ではあるのだが、単なる懐古趣味的な意味合いで用いているのではなく、今となってはアナログでしかない当時の最先端の技術や知恵の枠組みの中で物語が推移している点が作品に面白味を与えているのだと思う。現在のハイテク技術の斬新な描写は確かに心をときめかせるのだが、アナログな知恵だからこそ納得し感心出来る面白さがある。そんな点を踏まえると、どことなくルパン三世のファーストTVシリーズを思わせる世界観を私は感じた。 系統で言えばオーシャンズ11等と同じジャンルの作品と言えるだろう。しかし、小気味好い軽妙さは薄い。その分、肌で感じるスリリングな味わいは強く、クライムサスペンスとしての醍醐味を十分に感じられる作品だ。 |
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