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虚しき少女の生きている証 原作は金原ひとみの第130回芥川賞受賞の小説。10代の少女の生きざまを描いた作品。様々な意味で過激な内容であるが為、観る者を選ぶ作品といえるのかもしれない。 アブノーマルな世界の登場人物は思いもよらず純粋だ。だが必ずしも善という意味ではない。世間一般の社会通念に惑わされないという意味で純粋なのだと言いたい。 人が社会の一員である以上、社会性はなくてはならない。だが、社会性を重んじるばかりに自らの個が無くなってしまったら、それは本末転倒なのではないかと思う。個がそのまま集団に適合されれば良いのだが、中々そうはいかないのかもしれない。ならば個と集団とのバランスをとる。ある人にとっては容易いことなのかもしれないが、ある人にとっては難しいことなのかもしれない。 社会と一線を画する個が、白い目で見られる程度ならまだ良いが、社会を脅かすまでエスカレートしたならば、それは排除すべき悪でしかない。さらには自分の居場所を確保する為に悪を黙認することも、人類に対する背任である。 本作には一般社会に同化しない若者の姿が実に艶かしく描かれている。何故、その境地に至ったのかというプロセスに比重を置いていない為、物語に広がりはあまり感じないのだが、その分、今にスポットを当てる事で鮮明となる刹那な若者の魂が圧倒的な迫力で押し寄せて来る。もしかしたら、そもそも今に行き着くプロセスなど最初から無いのかもしれない。それこそが一番の問題なのかもしれない。 ルイという衝撃的な役に体当たりで挑む吉高由里子は圧巻だ。彼女のヌードシーンは作品のクオリティーの面で大変意義がある。だが、吉高由里子という女優は脱がなくても十分すぎる程の色気を醸し出している。若さ故の無邪気さを表現できる女優は多数いれど、若さが抱える鬱を表現できる女優は現在ではあまり類を見ない。代替出来ない輝く個性はとても魅力的に映る。 蜷川幸雄監督の人柄と人脈からなのだろうか、端役で出演しているビッグネームが花を添える。 |
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