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誘惑のワルツにのって タイトルだけ見ればエロティックで怪しい感じがしなくもないが、内容はロマンティックなラブコメディである。 この手の作品はハリウッドの専売特許のように思える。これはチャップリンに代表されるサイレント(無声)映画からの産物、あるいはその手法を継承しているなのではないかと感じる。それは表現手段を言葉だけではなく、動作や表情にも重きを置いている点である。そしてその動作や表情だけで充分伝えられる点である。まさに無口な四人の楽団はその最たるであり、彼らとゲーリー・クーパーとのシャンパンのくだりは実にユーモラスだ。オードリー・ヘプバーンの金庫の開け方もそうである。 幾分、現実味がなくチープに感じてしまうかもしれないが、まるで不思議の国に来たようなトキメキとロマンティックなムードを感じずにはいられない。それはコミカルさに基づいた楽しませようという姿勢の表れであり、ヘプバーンはキュートなコメディアンヌとも言えよう。それは演技・演出にとどまらず、ストーリー自体にも言えることである。 プレイボーイと健気な乙女心の駆け引きとその結末。多意味を含む「おしゃれ」という言葉で形容できるであろうが、ロマンティックを味あわせて充分に楽しんでもらおうという作り手の思慮が大いに感じられる。 |
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