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切り裂きジャックの伝説 19世紀末の実在の殺人犯、切り裂きジャックの事件をモチーフにした作品。ただし、この事件は解決しておらず、犯人もつかまっていないのでフィクションである。 事件自体あまりにも残虐で、かつ不可解で解決もしてないことから多くの憶測を呼び、伝説化した事件であるのだが、大胆な事件の解釈とそれにまつわる人間模様をうまくリンクさせている。 本筋である誰が犯人かという謎解きも最後まで気を持たせるストーリー展開は優秀である。それは凝った脚本と演出はもちろんなのだが、ジョニー・デップという一風変わったキャリアを持つ俳優が出演していることも図らずも大きな要因になっていると思う。役柄も含めた彼の不思議な存在感が物語を迷宮へと誘っていく。 海外作品で驚かされるのが、実名の個人や団体が登場する点だ。しかもフィクション作品でである。日本であれば、警察等の限られた公共団体以外は偽名を用いる。実名を使うのは実話に基づく作品ぐらいであろう。フィクション作品の中で実名を用いれば現実感が出て作品に入り込める要因のひとつにもなりうる。まさに本作はその理由が当てはまり、もし実名でなければ本作のクオリティは相当下がったであろうと考えられる。それだけ実名・実在の人物・団体のバックボーンは大きな作用を引き起こす。実名を許す環境や文化に社会の懐の深さを感じずにはいられない。 イギリスが舞台とはいえ、アメリカ映画ながらイギリス人俳優が多数キャスティングされているのも興味深い。 |
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