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苦痛の中の心暖まる物語 アイルランドからニューヨークへ移住した家族が困難を乗り越えて新しい一歩を踏み出していく姿を描く。 本作を覆う空気は倦怠感。それは最愛の息子を亡くした家族の悲しみであり、まるで魂が浮遊しているような不安定の空気の中で物語は進んでいく。そんな中での救いは子供達。まさに子はかすがいであり天使だ。そしてもうひとりの天使マテオが現れる。彼のおかげで家族は一歩踏み出す準備ができたのだろう。そして優しい嘘。本当は嘘じゃないのかもしれない。例えば貧乏をすればこそ、お金の有り難みがわかるように、死に直面すればこそ、本当の意味で命の大切さがわかるのかもしれない。そうしなければ理解できないのは残念なことなのだが。マテオの悲しい告白直後の姉クリスティの美しいデスペラードはまさに天使の歌声。生と死のコントラストのようであり、図らずもこれは父へのメッセージでもあった。 しっかりした姉クリスティを演じるサラ・ボルジャーと無邪気な妹アリエルを演じるエマ・ボルジャー。冒頭から姉妹の愛らしさにすぐに心を奪われてしまうのは避けられない。二人は何と実際の姉妹。そう考えると息の合った二人の演技に納得してしまう。その他、寂しさを隠しきれない母を演じたベリーショートなサマンサ・モートン、すこし頼りない父のパディ・コンシダインと難しい家族を素晴らしく演じてくれる。 未知の街ニューヨークでの生活は色々な意味でまさにサバイバルだ。しかし、お菓子をねだりにアメリカに来た女の子の三つの願いごとは決して小さくなかった。最後に娘が教えてくれた勇気に私も感情を抑えきれなくなった。 |
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