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17歳が出した答え 原作は貴志祐介の小説。完全犯罪を目論む17歳の高校生を描いた作品。 「セブンティーン」という雑誌があったり、「17才」という曲があったり、17歳という年齢はあらゆる年齢の中で何故か特別にフィーチャーされる年齢のように感じる。 本作の主人公も17歳の高校生だ。ズバリ17歳という年齢を前面に出している訳ではないのだが、やはりどこかで意識させられるし、また、本作の公開より少し前に世間を騒がせた、17歳による犯罪、いわゆる「キレる17歳」が本作に、結果的になのかも知れないが、多少なりとも影響を与えているのではないかと思う。 17歳に限った事ではないのだが、10代後半とは、ある意味大人であり、大人でない不思議な年代であろう。ただ、あくまでも全体として見ればだが、絶対的な経験値が少ない故か、思慮が浅いのが現実ではないかと思う。それは若さの宝である、がむしゃらな推進力を生み出す反面、思い詰めてしまうと、大きく広がる未来があるにもかかわらず、良からぬ方向へ進んでしまう危険性も秘めているだろう。 本作の主人公の現状は悲惨なのかも知れない。しかも家族思いな面は実に立派なので、なおさらそう感じてしまう。しかし、彼の選択した行動はベストでもベターでもない。その辺りが若さの、作品タイトルから引用すれば青さの恐さであり、悲劇なのだろう。 あくまでも私見だが、主演の二宮和也は、ジャニーズ事務所でありながら、もちろん似つかわしい愛らしさをしているのだが、どこか70年代の若者のような雰囲気を持つユニークな存在だと思う。彼の大きな特徴は華奢な容姿であろう。だが、そこに収まり切らないしっかりとした演技の実力も兼ね備えている。ガラス細工のような脆さをまといながらも、力強い生命力を表現出来る。これは、宮崎あおいにも共通して言える資質ではないかと思う。 本作の監督は演劇界の雄、蜷川幸雄。カメラワークの豊かな長回しのシーンに優れた技量を感じさせる一方、素人の私が分かったような口を聞かせてもらえば、正直、特に前半の舞台劇のような、白黒はっきりさせるような演出、説明じみた台詞の数々は二宮の良さを消してしまっているように思う。 しかし、物語が進むに連れて、事が佳境を迎えるに連れて、少年の狂気が二宮の持つ儚さと相まって、不条理な世界を映し出して行く。17歳が起こした行動は決して許されるべきではない。しかし、追いつめられての心情は上手く描かれているのではないかと思う。 |
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