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お前を忘れない アメリカ海軍士官学校を舞台に、様々な要素を上手い具合に詰め込み、絶妙にまとめ上げた青春映画の傑作。 青春モノとしては押さえておきたい恋愛要素。本作も御多分に洩れず、しっかりと含まれており、本作の大きな軸として、パイロットを目指すエリート候補生と、彼らを取り巻くグルーピーとも呼べるような、玉の輿を狙う女性との恋愛模様が描かれている。 この恋愛の図式が実に巧妙で、立場と意識の同様と相違を見事に絡ませた描き方をしており、この辺りがしっかりしているので、決して複雑なストーリーではないのだが、画一的で陳腐な様相にはならない。 しかし本作はそれでは終わらない。苦しい訓練を共にし、分かち合い、芽生える友情、それらを通じて成長する姿も描かれており、まさに抜群の邦題、旅だちの名に相応しい内容となっている。 主人公ザックを若きリチャード・ギアが魅力たっぷりに演じる。ザックの屈折した心情は彼の持つ色気によって醸し出される。制服姿の凛々しさも見どころのひとつになるだろう。ザックとは対称的なキャラクターで描かれているデビッド・キース演じるシドも良く、彼の優しき心は切なくはあるが、汚れなき若さを象徴している。 そして、彼らの前に立ちはだかる鬼教官フォーリーが実に素晴らしく、本作には不可欠な存在となっている。彼がいなければ、本作の魅力は間違いなく半減していたであろう。 プロフェッショナルに徹する姿と、その裏側に見える親心。いや、親心があるからプロフェッショナルと言えるのかも知れない。一本筋の通った彼の姿勢は本作の重要なポイントである。フォーリーを演じたルイス・ゴセット・ジュニアは本作で第55回アカデミー賞の助演男優賞を受賞している。 また、希望と哀愁を感じさせるスケールの大きい主題歌は、今日まで歌い継がれる名曲であり、これまた第55回アカデミー賞の歌曲賞を受賞している。 二段構造とも言える、怒濤のクライマックスは否応無しに胸に染み入る。 |
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