自分勝手な映画批評
愛と青春の旅だち 愛と青春の旅だち
1982 アメリカ 124分
監督/テイラー・ハックフォード
出演/リチャード・ギア デブラ・ウィンガー ルイス・ゴセット・ジュニア
幼少時代の苦い体験を引きずりながら海軍に入隊したザック(リチャード・ギア)。初日から鬼教官フォーリー(ルイス・ゴセット・ジュニア)の洗礼にあう。

お前を忘れない

アメリカ海軍士官学校を舞台に、様々な要素を上手い具合に詰め込み、絶妙にまとめ上げた青春映画の傑作。

青春モノとしては押さえておきたい恋愛要素。本作も御多分に洩れず、しっかりと含まれており、本作の大きな軸として、パイロットを目指すエリート候補生と、彼らを取り巻くグルーピーとも呼べるような、玉の輿を狙う女性との恋愛模様が描かれている。

この恋愛の図式が実に巧妙で、立場と意識の同様と相違を見事に絡ませた描き方をしており、この辺りがしっかりしているので、決して複雑なストーリーではないのだが、画一的で陳腐な様相にはならない。

しかし本作はそれでは終わらない。苦しい訓練を共にし、分かち合い、芽生える友情、それらを通じて成長する姿も描かれており、まさに抜群の邦題、旅だちの名に相応しい内容となっている。

主人公ザックを若きリチャード・ギアが魅力たっぷりに演じる。ザックの屈折した心情は彼の持つ色気によって醸し出される。制服姿の凛々しさも見どころのひとつになるだろう。ザックとは対称的なキャラクターで描かれているデビッド・キース演じるシドも良く、彼の優しき心は切なくはあるが、汚れなき若さを象徴している。

そして、彼らの前に立ちはだかる鬼教官フォーリーが実に素晴らしく、本作には不可欠な存在となっている。彼がいなければ、本作の魅力は間違いなく半減していたであろう。

プロフェッショナルに徹する姿と、その裏側に見える親心。いや、親心があるからプロフェッショナルと言えるのかも知れない。一本筋の通った彼の姿勢は本作の重要なポイントである。フォーリーを演じたルイス・ゴセット・ジュニアは本作で第55回アカデミー賞の助演男優賞を受賞している。

また、希望と哀愁を感じさせるスケールの大きい主題歌は、今日まで歌い継がれる名曲であり、これまた第55回アカデミー賞の歌曲賞を受賞している。

二段構造とも言える、怒濤のクライマックスは否応無しに胸に染み入る。


>>HOME
>>閉じる





★前田有一の超映画批評★

おすすめ映画情報-シネマメモ