|
||||||||||||
オーディエンスのソウルに届かせろ! 自意識過剰な女の子が合唱の素晴らしさを通じて成長する姿を描いた作品。おそらく、多かれ少なかれ誰でも感じているであろう自分が他人からどう思われているのだろう?という意識を切り口に、自分が思う自分と他人が思う自分とのギャップ、そしてそれらから解放をテーマとしているのが面白い。 主役である夏帆が実に素晴らしい。自然風味でありながら、しっかりと表情を使い分けた演技には脱帽だ。また物語トータルで成長の跡を残しているのも見逃せない。 しかし彼女だけではない。強気な部長を演じる亜希子、優しい徳永えり、屈折した岩田さゆりといった面々も素晴らしく決して見落としてはならない。若い俳優の未熟な演技力を逆手にとって若さの特権である勢いや初々しさに委ねる作品もあったりするのだが、彼女たちはしっかりと与えられた役柄を演じている。本作は脇役のスペシャリストとも言うべき大人の俳優たちを配している作品ではない。本作に安定感を与えているのは、彼女たち、若きプロフェッショナルのおかげである。 そして避けては通れないのはゴリだ。正直、これは反則だ。お笑い芸人が演技をする場合、普段の顔とは違う一面、例えばシリアスな演技を見せたりするものだが、ゴリ演じる権藤という役は設定からして、まさにコント。そのまんまテレビで芸人ゴリが演じるキャラクターのひとつといった感じである。本作には幾分、行き過ぎた演出もある。しかしゴリがいると行き過ぎとも思えるシーンがしっくりとくる。まさに芸人の存在感といったところだろう。映画という勝手が違う媒体で、いつもどおりの実力を発揮するのは容易いことではないと思う。そんな中、いつもと変わらぬ面白さを提供するゴリ。元々、演じること魅せることに長けているのだろうが、お笑いの枠に納まらないポテンシャルを感じ得る。 そんな彼こそが本作の熱き魂の発信源だ。大河を称えることは広い心の持ち主でなければできない。歌は心の表現。だからオーディエンスのソウルに届くのだ。恥ずかしがらずフルチンになれ! 見た目30代の真剣10代の叫びを心のダイアリーにメモリーしよう! |
>>HOME >>閉じる |
|||||||||||
★前田有一の超映画批評★ おすすめ映画情報-シネマメモ |
||||||||||||