自分勝手な映画批評
夫たち、妻たち 夫たち、妻たち
1993 アメリカ 108分
監督/ウディ・アレン
出演/ウディ・アレン ミア・ファロー シドニー・ポラック ジュディ・ディヴィス
ゲイブ(ウディ・アレン)とジュディ(ミア・ファロー)夫妻の家に夕食を約束していたジャック(シドニー・ポラック)とサリー(ジュディ・ディヴィス)夫妻がやってくる。その場で突然サリーが離婚することになったと切り出した。

中年夫婦の赤裸々な恋愛観

この手のテーマの作品は日本でもある。本作が爽やかとは言えないが、日本の作品だともっと湿っぽくネチョネチョ・ドロドロした感じがある。ということは、その湿っぽさが日本的なのかと言えば、私はそうは思わない。本作で描かれている人間像・人間関係に十分共感できる。それ以上に本作の方が近いのではという感覚さえ覚える。それは、もしかしたら単純に脚本やストーリーの問題ではないのかもしれない。ウディ・アレンという希有な才能が描く世界観に共感しているのかもしれない。

本作に登場する中年の男女は決して愛らしく魅力的には描かれていない。アッパークラスの人間たちだが利己的で尊敬に値しない。だが作品を通じてギスギスした感じにならないのはウディ・アレンの手法だろう。これでもかという程のセリフの多さ。音楽がないのにテンポがある。不安定なカメラワークと長回し。様々な技法が用いられている。それはユーモラスにも映る。でも、しっかりと根本的なテーマは外していない。この感覚が素晴らしい。

ジュリエット・ルイスがマドンナ的な役柄で出演している。当時、彼女は台頭しだした同年代の俳優達の中でもエキセントリックな役を演じて強く印象に残した新進気鋭の女優だった。本作では過激な役柄ではないのだが、やはり輝きある存在感をみせてくれる。


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