自分勝手な映画批評
ユージュアル・サスペクツ ユージュアル・サスペクツ
1995 アメリカ 106分
監督/ブライアン・シンガー
出演/ケヴィン・スペイシー ガブリエル・バーン チャズ・パルミンテリ
昨夜のカリフォルニア州サンペドロ。港に停泊している船の上でマッチでタバコに火をつけるキートン(ガブリエル・バーン)。マッチを落とすと漏れているオイルに引火し、たちまち炎に包まれる。そこに男が現れた。

カイザー・ソゼの謎

信頼や信用は生きて行く上で重要であるのは間違いないだろう。それは個人的な対人関係に留まらない。例えば、電車やタクシーに乗ったり、レストランで出された食事を迷いなく食する事が出来るのは信頼や信用が根底にあるからこそである。

だがそれは、本来ならばおかしな話ではないだろうか? そこに信頼や信用に対する絶対的な根拠はない。もちろん、全てに疑心暗鬼になっていては神経がもたないであろう。

平和ボケだとも言えるだろうが、少なくとも現代の日本では、信頼や信用が一定の規準を満たして社会全般を覆っていると言えるだろう。もしかすると、そういった基盤があるからこそ、対人関係も構築されるのかも知れない。信頼と信用。本作は、その心理の隙を突いた、あるいは逆手に取った極めて優秀な作品なのではないかと思う。

身に覚えのない容疑で警察に連行された5人の男。だが彼らは、そもそも犯罪の世界で生きる男たちであった。そんな彼らが一同に集まった事により、新たな犯行を企てる事となる。

本作はミステリーと、それに伴うサスペンスを魅せる為の作品だと言っても過言ではないだろう。話が入り組み、時系列が滅茶苦茶な冒頭部分は、やや分かりづらく、観る者が路頭に迷う可能性がある。だが、そこさえ乗り切れば、一級品のミステリーとサスペンスを味わう事が出来る。

第68回アカデミー賞の脚本賞を受賞した見事なストーリーと、同じく本作で助演男優賞を受賞したケヴィン・スペイシーの卓越した演技が迷宮へと誘って行く。


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