自分勝手な映画批評
小さな恋のメロディ 小さな恋のメロディ
1971 イギリス 103分
監督/ワリス・フセイン
出演/マーク・レスター トレイシー・ハイド ジャック・ワイルド

少年少女の理由ある反抗

邦題が抜群だ。原題は「メロディ」。これは女の子の役名なのだが、もちろんメロディには音楽的意味もある。どちらの意味か、両方の意味なのか私には定かではないのだが、「小さな恋のメロディ」とした事で、まず音楽ありき、それが好きな女の子の名前に掛かっているように思える。メロディ役のトレイシー・ハイドはとてもチャーミングで魅力的なのは間違いないが、作品全体を包み込む甘酸っぱい旋律はどうしても忘れられない。

本作は健気な初恋の物語で間違いないのだが、私はそれ以上に少年少女の冒険物語のよう、まるで現代版のトム・ソーヤの冒険のように感じた。男子女子が敵対していたり、同性同士の仲間うちで背伸びした妄想・行動を起こす事、好き同士のカップルを無碍にひやかす事等いかにも子供らしいエピソードだ。本当の意味でイギリスの風習や文化を私は理解していないのだが、本作で描かれる子供達は実に活き活きしている。

子供は純粋だ。何故、今すぐ結婚できないのだろう? 真っ当な疑問だ。しかし大人達はちゃんと答えられない。疑問はクイズではないのだ。自己を確立した大人は体裁を気にするようだ。それはともすれば実のない理不尽なモノ。だから大人達は最後に逃げだしたのだろう。

1週間も愛したのだから50年愛し続けられる。トロッコで走りだした二人の姿は爽快だ。


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★前田有一の超映画批評★

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