自分勝手な映画批評
ダイヤモンド・イン・パラダイス ダイヤモンド・イン・パラダイス
2004 アメリカ 98分
監督/ブレット・ラトナー
出演/ピアース・ブロスナン サルマ・ハエック ウディ・ハレルソン
ダイヤモンドを美術館まで輸送するFBI捜査官スタン(サルマ・ハエック)達。警備は万全なのだが、マックス(ピアース・ブロスナン)が、いつ、ダイヤモンドを盗みに来るのかスタンは気掛かりで仕方ない。その頃マックスはNBAの試合を観戦中なのだが…

ダイヤモンドは永遠に?

パナマを舞台にした、ダイヤモンドをめぐる攻防・人間模様を描いた作品。

主人公の泥棒マックスを演じるのは、5代目007のピアース・ブロスナン。ジェームズ・ボンドのようにスーツでキメる訳ではなく、スパイと本作の役柄である泥棒とでは立場が大きく違うのだが、どこか007シリーズと共通する雰囲気が感じられる作品だ。

アクションシーンが少ない為に、分りやすいスケールの大きさは無いものの、007シリーズが持つ洒落たテイストを上手い具合に抽出しており、何よりマックスの頭脳明晰でスマートな立ち振る舞い、女性に優しい姿はボンドを彷佛とさせる。

だが、それ以上に、007シリーズからの影響を強く感じるルパン三世との共通点の方が多く感じられるのかもしれない。

泥棒という設定、華麗な犯行手口はもちろんだが、マックスと彼を追うウディ・ハレルソン演じるFBI捜査官スタンとの関係は、まるでルパンと銭形警部を見ているようである。さらには、ちりばめられたコミカルなユーモアのセンスも、どこかルパン風であり、はたまた007風と言えるのではないかと思う。

以上のような共通点を考えると、日本の漫画・アニメであるルパン三世から影響があるのかは疑問だが、少なくとも、ピアース・ブロスナンが持つジェームズ・ボンドのイメージを大きく覆さない、イメージの延長線上にある作品ではないかと思う。もっと言えば、ピアース・ブロスナンがジェームズ・ボンドだからこそ、成し得た作品なのかもしれない。

そう考えると偉大な本家・先駆者の影に隠れてしまいがちな、意地悪く言えば、二番煎じとも揶揄されそうな作品ではあるのだが、007ファン、ピアース・ブロスナンのジェームズ・ボンドファン、そしてルパン三世のファンには、その雰囲気を持ちながら楽しめる作品ではないかと思う。

しかし、それらを知らずとも、あるいはファンでなくても、楽しめる要素は十分に備わっている作品だ。

すでにリタイアした大泥棒と彼に執着するFBI捜査官。二人の腹の探り合い、騙し合いから生まれる奇妙な関係。そして彼らにまつわる女性達。

複雑・難解にならない程度にひねりを効かせたミステリアスかつコミカルなストーリー展開に心地良さを感じる、魅力あるクライム作品に仕上がっている。


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