自分勝手な映画批評
デーヴ デーヴ
1993 アメリカ 110分
監督/アイヴァン・ライトマン
出演/ケヴィン・クライン シガニー・ウィーバー フランク・ランジェラ
アメリカ合衆国のミッチェル大統領(ケヴィン・クライン)と妻のエレン(シガニー・ウィーバー)が多くの記者に迎えられホワイトハウスにヘリコプターが到着した。一方、街角の特設ステージでは、大統領のそっくりさんのデーヴ(ケヴィン・クライン・二役)がブタに跨がり登場していた。

サンキュー、ミスター・プレジデント?

万が一の有事の為に大統領の身代わりとして雇われた男が、倒れた大統領に成り代わり職務を遂行していく話。ケヴィン・クラインが本作中のアメリカ合衆国大統領のミッチェルと彼とそっくりなデーヴの二役を演じる。

一般人が正式なプロセスを経ず大統領になるという馬鹿げた設定を最大限に活かした、ありえない状況での驚きと喜びがユーモラスに描れており、大いに笑わせてくれる。と同時に、垢にまみれていない人間の指導力には爽快感を覚える。そんなニセ大統領に魅せられる人々。地位や立場など関係ない心の繋がりは優しく温かい。

コメディータッチの作品ではあるが、簡素であるにせよ、本来あるべき政治の本質が描かれている。まさに究極の国民目線。しかし、しごく当たり前のこと。まるで戦国時代の天下取りか何かと勘違いしている者、あるいは自分の存在価値や自身の業績を見せしめる為、理想の名のもとの自己現実・自己満足の為に政治家という職業に就いている者がいるのならば、是非とも観てもらいたいと思う。

正直に言えば、話の展開までは判らないにしても、設定や映画の冒頭を見れば何となく大凡の内容は想像出来る。それでもかなり高い水準で楽しませてくれる、期待に答えてくれるのは観る者を喜ばせることに重きを置いたハリウッド映画の底力なのだと思う。

本作公開時のアメリカ大統領はビル・クリントン。彼の一代前の大統領はジョージ・H・W・ブッシュであり、おそらく本作撮影時はブッシュが大統領ではなかったかと推測できる。ケヴィン・クライン演じる大統領及びニセ大統領は何となく見た目がブッシュに似ている(似させている?)。もしかしたら本作公開当時ならば、あまりにも似せようとする意図は鼻についたかもしれない。しかし時が経てば、その当時を思い出される良さだけ残るように思う。


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