自分勝手な映画批評
トワイライト〜初恋〜 トワイライト〜初恋〜
2008 アメリカ 121分
監督/キャサリン・ハードウィック
出演/クリステン・スチュワート ロバート・パティンソン ビリー・バーク
高校生のベラ(クリステン・スチュワート)は母の元を離れ、母と離婚してワシントン州フォークスに住む父(ビリー・バーク)と一緒に暮らすことになる。転校初日、彼女はカレン家と呼ばれる外科医カレンの養子たちの不思議な集団を見かける。

究極の禁断の恋

内気な女子高生とヴァンパイアの恋を描いた物語。原作はステファニー・メイヤーのティーン向け小説。

全体を包む美しくもどこか虚無感が漂うメランコリーな雰囲気は、ヴァンパイア登場作品に相応しく、同時に儚気なロマンティックさも演出している。また、説明を要するヴァンパイアという特異な設定を、物語の中で主人公の疑問を解決するかたちで明らかにしているので理に適っており、物語の進行の妨げにならない。

ティーン向けということもあり、ある程度ターゲットが限られ、観る者を選ぶ作品とも言えるのかもしれないが、なかなか興味深い作品になっていると思う。その理由としては、本作の最大のポイント、ヴァンパイアと人間の異種同士という設定を用いて、今の時代に描くのは希有であろうプラトニックな恋愛を実現させている点だ。

性急さは若さの特徴のひとつだ。貪欲に先を目指すパワーは、ある意味、エネルギー漲る若者だから持ち得る、若さの象徴と言っても良いだろう。良く言えば自由で尊重のある現代、悪く言えばモラルを失った現代では若者の推進力は止まらない。しかし、本作のポイント、ヴァンパイアと人間の禁断の関係が待ったをかける。触れることさえ憚るような無垢な恋心、初なもどかしさは非現実な世界で日の目を見る。

惹かれる気持ちに理由はない。しかし愛してはいけない人。障害が二人を阻む…。古典的と言えるかもしれないが、今の時代ではダイレクトには描けないストレートな切ない純愛を、ファンタジーな世界でムードたっぷりに実現させている。タイトルの「初恋」は邦題で追加されたようだが、的を得た良いタイトルであり、その名に相応しい清らかな美しさが本作にはある。


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