自分勝手な映画批評
同窓会 同窓会
2008 日本 105分
監督/サタケミキオ
出演/宅間孝行 永作博美 鈴木砂羽
オープンテラスのレストラン。待ち合わせに遅れてきた女(佐藤めぐみ)に男(北村一輝)は指輪を差し出しプロポーズをする。

中年男女の熱き青春物語

本作の主な登場人物の年齢の設定は30歳代後半あたりであろうか? 本作は、そんないい年齢に達した大人たちの青春物語である。第二の青春だとか青春を取り戻すといった類いではない。学校から大人社会に舞台を変えただけ、学生時代の青春がそのまま継続しているような風合いである。

その要因としては同級生と結婚したこと、そして学生時代からの友人との関係がクローズアップされていること、さらには実際は文科系ではあるのだが、どこか体育会系な気質なところが挙げられると考えられる。大人の群像劇が学生時代の延長のような描き方は皮肉を言えば子供っぽく、安っぽくも感じるが、私には共感できる部分も多く好感が持てた。実際、私自身も学生時代の友人に会うと学生時代に戻ったような気分になる。学生時代の友人が何にも勝って素晴らしいとは言わないが、若き日の青き経験を共有した友人は、かけがえのない間柄だと言えると思う。

学生と社会人は確かに違う。「学生気分が抜けない」なんて聞くと甘えがあるマイナスのイメージだ。もちろん、そういった学生気分は社会人失格なのだが、良い部分での青臭さは、わざわざ捨てることなく残しておいても良いのではないかと思う。

もちろん中年男女のドラマは学園ドラマには成り得ない。年齢的な現実がリンクする。30歳代後半あたりであれば健康面の不安も見えてくる年齢である。高校生が主役の学園ドラマでも悲劇は描かれるが、本作での悲劇に対する恐怖や悲しみは一層現実的である。

念の為、監督のサタケミキオと主演の宅間孝行は同一人物。つまり宅間孝行の監督・脚本・主演ということになる。サービス精神旺盛で、いささか行き過ぎと感じられるシーンもあるのだが、それこそが舞台出身者の描き方というべきなのかもしれない。過去と現代が呼応するエピソード、キーとなるアイテムの使い方、そして結末。宅間孝行は相当なロマンチストなのだと感じた。


>>HOME
>>閉じる



★前田有一の超映画批評★

おすすめ映画情報-シネマメモ