自分勝手な映画批評
タクシードライバー タクシードライバー
1976 アメリカ 114分
監督/マーティン・スコセッシ
出演/ロバート・デ・ニーロ シビル・シェパード ジョディ・フォスター
不眠症のトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)はタクシー運転手の職に就く。満たされない生活は続いていたが、大統領候補パランタインの選挙事務所で働く美しき女性ベッツィー(シビル・シェパード)に心を奪われる。

今だ色褪せない衝撃作

何かしらのメッセージを伝える作品ではないのだが、主人公トラヴィスのキャラクターにただただ圧倒される。とにかく強烈だ。

主人公トラヴィスは世間と融合せず自らの信念や信条、ルールにだけ基づいて突き進んでいく。彼の世界観は揺るぎなく、なおかつどんどんエスカレートして行く。

演じるロバート・デ・ニーロにとって本作はキャリアの初期の作品であるが、彼の演技力は凄まじい。ただでさえ特異な人物の主人公であり、その人物を演じるだけでも素晴らしいのだが、物語が進むにつれて移りゆく彼の心情、渾沌・希望・怒り・悩み・目覚め・自信・焦り・悟りなどを見事に演じきってる。

この主人公のキャラクターが本作の肝ではあるのだが、タクシードライバーという設定が重要だということも忘れてはいけない。タクシードライバーは不特定多数の人物と会い、街を把握し解け込まなければいけない職業。そういう職業を主人公の職業に設定したからこそ物語が広がり展開されたと言えるだろう。職業や階級、立場の違いを示すような対比の描写。そしてそこから生まれる絶望と劣等感。渾沌としたニューヨーク。そこに生きる人間たちが妙にリアルに感じられる。

主人公以外の登場人物も多彩で個性豊か。幼き娼婦アイリスを演じるジョディ・フォスターは公開時14歳。すでに大女優の貫禄だ。

くり返されるサックスの音色はほろ苦く、哀愁漂うニューヨークの街並みに絶妙にマッチし本作を一層魅力的にしている。


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