自分勝手な映画批評
ジャッカル ジャッカル
1997 アメリカ 124分
監督/マイケル・ケイトン=ジョーンズ
出演/ブルース・ウィリス リチャード・ギア シドニー・ポワチエ
モスクワのナイトクラブにチェチェン・マフィアのガッツィ(ラヴィル・イシャノフ)が現れた。そこで張り込みをしていたアメリカ・ロシアの合同捜査チームは、ガッツィの入店を確認し、ガッツィを逮捕する為に店内へ突入した。

誰も彼を救えん、俺以外はな

アメリカの要人の暗殺を目論む殺し屋と、囚人の手を借り手まで彼を捕まえようとするアメリカ・ロシアの合同捜査チームとの攻防を描いた作品。

本作はジャッカルの日のリメイクと目される作品である。しかし実のところ、根本的な構造は同じだと言えるのだが、ストーリーやその背景はジャッカルの日に倣っている訳ではない。なので、リメイクというよりもモチーフにしたと考える方が相応しい作品ではないかと思う。





ソ連の70年に及ぶ共産主義が崩壊し、その後の行政腐敗と経済危機により犯罪は急増していた。その中でチェチェン・マフィアは勢力を拡大させ、アメリカ進出をも図っているのであった。そんな状況を憂慮したFBIは前例のない手段を取った。捜査員をモスクワに派遣して、そこでMVD(ロシア内務省)と協力し、アメリカ・ロシアの合同捜査チームを初めて誕生させたのだった。合同捜査チームは、モスクワのナイトクラブでチェチェン・マフィアのガッツィを市長殺人容疑で逮捕しようとする。しかしガッツィは抵抗し目の前のMVDのコスロバ少佐に襲い掛かる。コスロバはガッツィを射殺してしまうのだった。ガッツィはチェチェン・マフィアのボス、テレクの弟。怒ったテレクは報復すべく、ある要人の暗殺を名うての殺し屋ジャッカルに依頼するのだった。





何といっても本作の最大の見どころはスーパースター俳優2人の共演であるだろう。

ジャッカルを演じるのはブルース・ウィリス。ウィリスは正義な役柄を演じる事が圧倒的に多いと思うのだが、本作では悪役にまわっている。但し、ウィリスが演じてきたのは清廉潔白、聖人君子ではなく、どこかしらクセがある正義の人。そういった意味では、大きくイメージを崩す事なく非情な悪役を演じていると思う。幾度となく見せる変装をする姿も本作の見どころの1つに挙げられるだろう。

対するリチャード・ギアは少し分が悪い気がする。ギアの本来のフィールドは本作のようなところではないだろう。だが、それでもキッチリ仕事をするのは流石。もしかすると本作は、ギアの違った魅力を味わえる作品だと言えるのかも知れない。

オリジナルのジャッカルの日は、非の打ち所がないと言っても言い過ぎではないほどの優れた作品であると思う。そんな作品のリメイクである事は、必ずしも良い面ばかりではない筈である。但し、本作には違った個性の違った良さを感じられる事だろう。

ブルース・ウィリスとリチャード・ギアの共演をストロングポイントとし、ジャッカルの日よりもショーアップされたエンターテインメントである本作は、サスペンス・アクションの醍醐味が存分に詰まった作品である。


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