自分勝手な映画批評
ジョニー・ハンサム ジョニー・ハンサム
1989 アメリカ 94分
監督/ウォルター・ヒル
出演/ミッキー・ローク エリザベス・マクガヴァン モーガン・フリーマン
ジョニー(ミッキー・ローク)は金に困っている昔なじみのマイキー(スコット・ウィルソン)に頼まれて強盗の計画を立てる。ジョニーは、その計画を自らが実行するのは乗り気ではなかったのだが、マイキーにせがまれて実行犯に加わる事となる。

生まれ変わった男が選んだ道

整形手術によって新しい顔を得た男の物語。

自分を変えるには何かキッカケを必要とするのかも知れない。例えば環境を変える。新しい土地、新しい職場、学生なら転校、あるいは上の学校に上がる際に変化は訪れるのかも知れない。もっと手っ取り早い、簡単な例を挙げれば、髪型を変えるだけでも心境は変化するのかも知れない。

醜い顔を持つジョニーは、医師に勧められて自分の顔を変えた。整形手術なんて思いも寄らない発想だったであろうジョニーとって、医師の提案は神の声であり、整形手術は千載一遇のチャンスであったに違いない。顔が醜いがゆえに人生に苦労してきたジョニー。あきらめていた人生が、新しい顔によって開けたと言っても良いだろう。

但し、ひとつポイントとなるのは、ジョニーは自ら進んで顔を変えた訳ではない事だ。一般的に自分を変えたいと思うのは、今の自分に満足していない、もっと強く言えば、今の自分に嫌気が差しているからだろう。もちろん、ジョニー自身も潜在的には変化を求めていただろうし、多くの過去は消し去りたいとも思っていただろう。ただ、突然訪れた自発的ではない変化には、清算しきれない想いも残されているだろう。事実、彼には忘れられない恩義と返さなければならない借りがあった。

華やかなスターであったにもかかわらず、割とクセのある役を好んでいたように思うミッキー・ロークにとって本作は、やりがいのある作品だったのではないかと思う。特殊メイクで表情が伺えない整形前と綺麗になった整形後の演技。この2つを分ける事なく、永年コンプレックスを抱えた内向的な男として、抑えた演技で表現している。

モーガン・フリーマン、フォレスト・ウィテカー等の豪華な共演陣も本作の見どころであろう。彼らの存在感は、作品に深みと重みをもたらしている。特に、ランス・ヘンリクセン演じる、いい歳したダメな大人の妙な凄みは秀逸。

ライ・クーダーの音楽が一層雰囲気を煽る。


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