自分勝手な映画批評
ロックンローラ ロックンローラ
2008 イギリス 114分
監督/ガイ・リッチー
出演/ジェラルド・バトラー トム・ウィルキンソン マーク・ストロング
不動産売買が儲かるとの話を聞いたワンツー(ジェラルド・バトラー)とマンブルズ(イドリス・エルバ)は、早速土地を買う事にした。

ピアノの端にタバコの箱がある、その四角い箱の中に人生がある

ロンドンの裏社会の模様を描いた群像劇。

作品タイトルだけ見れば勘違いしそうなのだが、本作は音楽にまつわる話ではない。作品タイトルは「ロックンローラー」ではなく「ロックンローラ」。その意味は作中で示してくれる。

好景気真っ最中のロンドンでは地価が右肩上がりで高騰しており、富を得る為に土地の争奪戦が白熱していた。ワンツーとマンブルズも、その時勢に乗って不動産投資に手を出した。もちろん、元手として大金が必要となる。だが、前科者のワンツーとマンブルズに銀行は融資してくれない。そこでワンツーとマンブルズは、ロンドンの裏社会の顔役であるレニー・コールに金を借りる事にした。これで上手くいく筈だったのだが、問題が生じてしまった。ワンツーとマンブルズの買った土地に建設許可が下りないのだ。建設許可が下りなければ、土地の価値は上がらない。ワンツーとマンブルズの不動産投資は失敗に終わり、今月中が期日のレニーからの借金だけが残ってしまった。ただ、これには裏があった。この事態はレニーが仕組んだ周到な罠だったのだ。裏社会の顔役であるレニーの一声で建設許可は下りる。だが、そうはせずにレニーは、わざとワンツーとマンブルズを窮地に追い込み、ワンツーとマンブルズの土地を手に入れ、更には損失まで払わせる事に成功するのだった。そんなレニーは、ある日ロシア人実業家で資産家のユーリと会談をした。ユーリがセッティングした会談の目的は、レニーの手腕を見込んで超法規的な建設許可の根回しを頼む事。レニーは700万ユーロで、その頼みを引き受けた。会談が終わりレニーは、そこにあった絵に関心を持つ。その絵はユーリの所有物で、ユーリにツキを運んでくれる幸運の絵だった。その場でユーリはパートナーの証として、その絵をレニーに貸すのだった。ユーリはレニーに支払う700万ユーロを用意する為に会計士に連絡をした。その会計士はステラという女性で、頭がキレ、独創的な経済感覚を持つ凄腕。但し、安隠な生活に飽きて、危険な場所に刺激を求めていた。しかもワンツーとマンブルズの知り合い。ステラはワンツーに銀行から引き出される700万ユーロの強奪計画を持ちかけるのだった。

いかにもガイ・リッチーらしい作品である。大人数の登場人物を擁し、複数のストーリーが混在し絡み合う。リッチー作品を見慣れていない人は、その慌ただしさに困惑してしまうのかも知れない。しかし、これこそリッチーの作風。雑多なピースを集めたパズルゲームのような感覚は、麻薬のように病み付きとなる。

本作の特色として挙げられるのが、当時のロンドンの実情を物語のベースにしている点だ。この実情は真正面からシリアスに取り上げる事も可能なのだが、本作は、あえて斜の観点からシニカルに捉え、ブラックなユーモアに変換して笑い飛ばしている。

この手法はリッチーらしいと言うよりも、イギリス人気質らしいと言った方が良いのかも知れない。この手の遊び心はイギリス作品に多く見受けられる。無論、リッチーにも、この気質は備わっている。だからこそ、本作に限らずだが、下衆で愚かな世界を魅力的に描き出せるのだろう。

ただ、リッチーが当時のロンドンの実情をテーマにした事には注目したい。本作は、その事情に対するリッチーの意見が込められ、その意見をリッチーなりの表現方法でメッセージした作品ではないかと思うのである。その奥からは、ロンドンへの深い愛情を感じ取る事が出来る。

凝りに凝ったストーリー展開が見どころの作品だが、俳優たちの名演も見ものである。本作に登場するのは馬鹿な男たちばかりだ。だが誰もが皆、チャーミングでキュートなのである。やんちゃな男たちが繰り広げる物語は、随分と下品ではあるのだが狂おしい程に愛おしい。そして、そんな状況だからか、紅一点タンディ・ニュートンのクールな魅力が一際輝く。


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