自分勝手な映画批評
ラスト・ボーイスカウト ラスト・ボーイスカウト
1991 アメリカ 105分
監督/トニー・スコット
出演/ブルース・ウィリス デイモン・ウェイアンズ ダニエル・ハリス
豪雨の中のアメリカンフットボール、クリーブランドvsロサンゼルスの試合。ハーフタイム中にマイロ(テイラー・ネグロン)から電話で「タッチ・ダウンを決めろ」と指示されたビリー・コールは隠し持っていた拳銃で相手撃ち続けタッチ・ダウンを決める。

落ちぶれた男が固持するプライド

過去に大統領の命を救ったことがあるシークレットサービスだった経歴を持つ私立探偵の男の物語。それほど強くないのだが探偵モノの常であるミステリーの要素を持ちつつ、中年男の生きざまをアクションを踏まえて魅せる作品に仕上がっている。端役ではあるがストーリー展開のきっかけとなる女性役でハル・ベリーも出演している。

本作にボーイスカウトは出てこない。タイトルの真意を私は残念ながらしっかりと理解していないのだが、作中での使われ方を考えると、ラスト・サムライのごとく、現代では失われた、あるいは時代遅れな人格者、融通の効かない男といった意味合いではないかと思う。派手なアクション作品ではあるのだが、タッグを組む若き相棒、そして自分の娘との世代間の意識のギャップとその行方がもうひとつのテーマであろう。

ブルース・ウィリスの出世作と言えば「ダイ・ハード」であり、本作の公開時にはまだその余韻が強く残っていた時期だ。本作もストーリー展開や作風は異なるのだが、「ダイ・ハード」のイメージを大きく損なう作品にはなっていない。但し、二番煎じと考えるよりも、ブルース・ウィリスが人間らしい情けなさを合わせ持つタフなキャラクターの適任者であり、そんな彼が巨悪に立ち向かう姿が様になっていると考えた方が良いだろう。本作で彼が演じるジョーは「ダイ・ハード」で演じたジョン・マクレーンよりもシリアスであり、その分、作風もハードボイルド色が強くなっている。その味わいは古の探偵像を踏襲しているようでもある。

ニヒルな軽口に隠されたハードボイルドは、ジョーのやさぐれた生活とは反する正義感と同調するようであり、さらにはブルース・ウィリスの一見相反するような、スマートではないカッコ良さに通じるように感じる。ハマリ役を演じるブルース・ウィリスの魅力の詰まった作品だと言えるだろう。


>>HOME
>>閉じる



★前田有一の超映画批評★

おすすめ映画情報-シネマメモ