自分勝手な映画批評
リターナー リターナー
2002 日本 116分
監督/山崎貴
出演/金城武 鈴木杏 岸谷五朗 樹木希林
闇取り引きの現場でミヤモト(金城武)は永年の仇、溝口(岸谷五朗)に出会し、あと一歩のところまで追い詰めるのだが…

世界基準での邦画の可能性

VFXを駆使したSFアクション作品。当時、一世を風靡した映画「マトリックス」のような描写も存在するのだが、今となってはさほど気にならないだろう。

とにかく鈴木杏が良い。彼女の少年とも少女ともとれるような振る舞いははまるで銀河鉄道999の星野鉄郎のようであり、勇敢で繊細な未来から来た幼き戦士を実に生き生きと演じている。彼女本来のキャラクターもあるのだろうが、ティーンエージャーのわずかな時間でしか演じられない本作のミリという役に輝きを与えたのは間違いなく彼女の実力であり、まさにハマリ役と言えよう。鈴木杏の演技を見るだけでも本作を見る価値がある。

と言っても、他の俳優達も素晴らしい。国際スター金城武はさすがの存在感だし、失礼ながら悪人顔の岸谷五朗は本当に憎たらしい。樹木希林の安定感は言うまでもない。

と同時に監督である山崎貴もすごい。彼の最大の武器はVFXなのであろう。無論、VFX技術も含めた無国籍な雰囲気を醸し出す雰囲気も作品の彩りとしては申し分ないのだが、もっと根本的な作品のトータルでの演出力が素晴らしい。それはおそらく何より観客を楽しませる事に重きを置く客観視に基づくエンターテイメント性へのこだわりであり、ハリウッド作品のような雰囲気を感じる。まさに大衆娯楽に不可欠なセンスを持った作品と言えよう。


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