自分勝手な映画批評
M★A★S★H マッシュ M★A★S★H マッシュ
1970 アメリカ 116分
監督/ロバート・アルトマン
出演/ドナルド・サザーランド トム・スケリット エリオット・グールド
ホークアイ(ドナルド・サザーランド)とトラッパー(エリオット・グールド)は同じ日に朝鮮戦争下の野戦病院に軍医として着任するのだが…

ナンセンスコメディの中に見る哀愁

第23回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品。朝鮮戦争下の野戦病院での生活を描いた作品。問題作・異色作といった類いに入る作品であろう。タイトルのMASHとは移動米軍外科病院(Mobil Army Surgical Hospital)の意味。

野戦病院なので直接戦闘には関わっていないのだが、そこでの生活は危機感のかけらもなく、まるでボーイスカウトのキャンプのようだ。いささか行き過ぎた描写も多々あるのだが、コメディと簡単には片付けられない、戦場で働く者の姿が描かれている。

軍に従事する者にとって戦場は職場のひとつだ。他方、一般的に職場環境を良くすることは仕事の効率が上がると考えられる。もちろん、仕事は仕事と割り切って職場の環境など関係ないと考える人もいるであろう。しかし、どちらかを選べと問えば、おそらく多くの人が粗悪な職場環境、例えば嫌な人間関係の蔓延る職場よりも、楽しい職場のほうが良いと考えているのではないだろうか? 特に緊張感の張り詰めるような仕事内容ならば、時にはユーモアを交えたような心休まる職場の環境が大事ではないかと思う。また職場を楽しくしようとする心掛けも職業意識として大切だ。しかし職場が戦場だったなら…

彼らはプロフェッショナルな軍医だ。そして戦場を楽しんでいる。逆説的に言えば、戦場にこそ自分の生き甲斐と居場所を見つけた悲しみだ。冒涜ともいえるナンセンスな喜びと価値観、だからこその哀愁が本作に描かれている。


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