自分勝手な映画批評
グリーン・ホーネット グリーン・ホーネット
2011 アメリカ 119分
監督/ミシェル・ゴンドリー
出演/セス・ローゲン ジェイ・チョウ キャメロン・ディアス
学校でケンカをして早退を命じられたブリット少年は、父・ジェームズ(トム・ウィルキンソン)が社長を務める新聞社デイリー・センチネルの社長室のジェームズの元へと通される。ブリットはケンカではなくイジメを止めようとしただけだと主張するのだが、ジェームズは聞き入れず、ブリットが持っている人形を取り上げ、人形の首をもぎ取った。

マスク付けた大人って、スーツ着ている大人よりもヤバそうに見える

正義の味方グリーン・ホーネットの誕生経緯と活躍を描いた作品。オリジナルはアメリカのラジオ及びテレビ番組。テレビ番組版はブルース・リーの出世作としても有名である。

ハリウッドにはアメコミもの、日本的に言えばヒーローものの映画が多数存在する。メジャー級はもちろん、私の知識不足なのかも知れないが、中には映画化されて初めて知るようなアメコミ作品も映画化されている。

日本にも数多くのヒーローが存在しているし、映画化もされている。但し、それらの作品が子供向けである印象は否めない。ハリウッドのアメコミものも決して絶対的に大人向けではないだろう。しかし、大人の鑑賞も耐え得る、あるいは楽しめる作品であるのは間違いないだろう。

何も、すべてハリウッドを見習えなどとは思わない。また、必然的にスケールが大きくなるので制作費等の資金面の問題もあるだろう。ただ、せっかく日本でも優秀な素材が揃っているのに埋もれさせてしまうのは余りにも惜しい。是非とも知恵を絞り、もっと大々的に世に送りだして欲しいものである。

新聞社デイリー・センチネルの社長の息子のブリットは、典型的なぼんぼん育ちでパーティー三昧な自堕落な生活を送っていた。見兼ねた父のジェームズは注意をするのだが、ブリットには聞き入れる様子はなかった。ある日、ジェームズは蜂に刺されたアレルギ−反応で突然死亡してしまう。ジェームズの後を継ぎ、デイリー・センチネルの新社長に就任したブリット。だが、ブリットは新聞にも経営にも興味がなかった。ある朝、カプチーノの出来がいつもと違う事に腹を立てたブリットは、どういう事かと使用人を怒鳴り付ける。使用人は、いつもはジェームズの車係のカトーがカプチーノを入れていたのだが、ブリットがジェームズの世話係を全員解雇した為にこうなったと説明。すぐにブリットはカトーを呼び出した。ブリットは何故車係のカトーがカプチーノを入れていたのか? 何故カトーが入れないとカプチーノの味が変わるのか? 2つだけ質問する為に呼び出したのだが、カトーの技術者・発明家としての才能に感動、またジェームズへの想いも共通している事からカトーを気に入り、何かデカい事をやろうと持ちかけるのだった。

本作はヒーローものでありながらも、作風は大きくコメディーに傾倒している。この事で大いに笑わさせてくれる実に楽しい作品に仕上がっている。ただ、このコメディーへの傾倒は、もうひとつ大きな役割を担っているように感じるのである。それは荒唐無稽なストーリーを現実に繋ぎ止める役割である。

大人が楽しめるからといっても本作が荒唐無稽な作品であるのには変わりない。大人を納得させるのは説得力が必要である。これが、まるっきりの異世界で繰り広げられる物語であるならば、すべてが創造であると解釈出来る。しかし本作は、一応舞台は現実世界。そこで要となるのはリアリティーである。その点も本作は出来る限りの注意は払っていると思う。しかし、それでも補いきれない面はある。そこをコメディーで補っているように感じるのである。

本作の主人公は、どうしようもない乱痴気野郎である。そんな男が中心であるのだから、物語が真っ当でないのは自然の成り行きであるだろう。ここで荒唐無稽に整合性を持たせているのだと思う。だからといってコメディーだけが選択肢ではない筈である。気の触れた狂気の物語でも良かった筈。だがしかし、本作はコメディーを選択した。その事によりエンターテインメント性が豊かになったと言えるだろう。もちろん、コメディーセンスとバランスが抜群だから為せる技である。

本作では、もうひとつ気付いた点がある。これは「バットマン」「アイアンマン」等でも同様なので本作に限った事ではないのだが、主人公が権力者である点である。これは、ちょっと日本では馴染みの薄い設定なのではないかと思う。

以前、興味深い話を耳にした。親のいない子供を施設から養子として迎えるケースで、日本では本当に良い人がそういった事をする場合が多いのだが、アメリカではお金持ちが率先してするといった旨の話である。調べた訳ではないので事の真偽は定かではないのだが、確かにハリウッドスターや有名ミュージシャンの何人かは養子を迎えている。

対権力というのは日本だけでなくアメリカでも鉄板の構図であり、多くの作品で取り入れられている。だが一方で、本作のような作品を観ていると、権力者が社会に還元するという文化も根付いているのだと思い知らされる感じである。但し、綺麗ごとばかりではない。権力者ならではの人間性も描いているところが物語を豊かにしていると言えるだろう。

作品のムードは違うのだが、アイマスクの二人組が改造した車と奇抜な秘密兵器を駆使して活躍するコメディータッチな本作を観ていたら、ふとヤッターマンを思い出してしまった。


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