自分勝手な映画批評
キルショット キルショット
2008 アメリカ 96分
監督/ジョン・マッデン
出演/ミッキー・ローク ジョゼフ・ゴードン=レヴィット ダイアン・レイン
「綿密に練った計画を、正確に実行する」を信条とする殺し屋のアーマンド(ミッキー・ローク)は、仲間と共に病院に押し入り任務を遂行する。引き上げる際に看護士に出会し、アーマンドは射殺しようとするのだが、誤って仲間を撃ってしまう。

悩める者たちが辿り着いた場所

原作はエルモア・レナードの小説。殺し屋と彼らに狙われる夫婦との攻防を双方の視点から描いた作品。

登場人物は、ほぼ4人。熟練した殺し屋と、彼のパートナーとなった血気盛んな若者。そして、彼らに出会したが為に狙われる事となる夫婦。サスペンスの定石ならば、狙われる立場の視点で描き、狙う立場を計り知れない無気味な存在として、恐怖を煽るべきであろう。だが、本作は違う。登場人物のパーソナリティーをクローズアップする描き方を用いている。

闇社会のスペシャリストだったが、懐に傷を負いリタイアしていた殺し屋が主人公であり、狙われる立場の夫婦も問題を抱えて離婚寸前。このような個々の諸事情が、バイオレンスに特化したサスペンスである事を許さず、ハードな描写を用いながらも、人間味ある優しさを見え隠れさせる。

そんな中、彼らと同調しないイカれた若者を演じるジョゼフ・ゴードン=レヴィットが良い。何も考えていない、イラつかせるような演技は、大人たちの物語にショッキングな色をつける。

ミッキー・ローク演じる主人公はネイティブアメリカンという設定。この設定には少々疑問を感じたが、若い頃とは人相が変わったミッキー・ロークは、それ程の違和感はなく、上手く対応しているように思う。


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