自分勝手な映画批評

コラテラル コラテラル
2004 アメリカ 110分
監督/マイケル・マン
出演/トム・クルーズ ジェイミー・フォックス
ロサンゼルスでタクシーの運転手するマックス(ジェイミー・フォックス)は、 ある日、アニー(ジェイダ・ピンケット=スミス)という女性を乗せた。ダウン タウンへ向かう彼女は道順を指示するのだが、マックスは違う道の方が早いと提 案する。

あるタクシー運転手の壮絶な夜

殺し屋の 男と、たまたまその男を乗せたタクシー運転手の一夜を描いた作品。

あ まり気にした事はなかったのだが、狭い密室を見知らぬ他人と共有するタクシー は、考えてみれば不思議な空間だ。もちろん単なる移動手段であるのは大前提だ が、場合によっては一期一会の出合いを楽しめる場所であるのかも知れない。し かし、まかり間違えば危険な状況を招く可能性も多分に秘めているだろう。そん な事を言い出したらキリがなく、何ひとつ行動出来なくなってしまうが、日常に 転がっている危険性をモチーフにしたのは上手いアイデアなのだと思う。

タクシー運転手が人を乗せる。それは、ごく当たり前の事。というか、それが仕 事だ。だが、乗客が危険人物だったら? ジェイミー・フォックス演じるタクシ ー運転手のマックスは自ずからバイオレンスの扉を開いてしまった。

冷 静に観てみれば、トム・クルーズ演じるヴィンセントは腕利きの殺し屋にしては 詰めの甘さというか、間の抜けた感じがしないではない。だが、そもそも本作が 現実的かという問題が根本にあるのだが、不謹慎な言い方だが、就労人数の僅か な、しかも究極な職業にはパーフェクトは少ないのかも知れない。事がスマート に進まない面にリアリティーを感じるように思う。

また、作品自体、そ の甘さを半ば強引に揉み消すように力技で進行させていくのだが、実にその推進 力・パワーは絶大であり、サスペンスとしての醍醐味を引き出しているように感 じられる。

何と言ってもトム・クルーズの演技が素晴らしい。大袈裟に 言えば正義の味方のようなイメージのある彼だが、本作ではイメージとは真逆の 悪役っぷりを魅せてくれる。単なるハンサムなスターではない、役者としての深 みを感じさせる一方、彼の持つ華が魅力的な悪役に仕立てているとも言えるだろ う。


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