自分勝手な映画批評
ゴッドファーザー ゴッドファーザー
1972 アメリカ 175分
監督/フランシス・フォード・コッポラ
出演/マーロン・ブランド アル・パチーノ ダイアン・キートン
自宅の書斎でビトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)は、ある男の嘆願を受けていた。外ではビトーの娘コニー(タリア・シャイア)の結婚パーティーが盛大に開かれている。

コルレオーネ・ファミリーの新たなる序章

原作はマリオ・プーゾの小説。第二次世界大戦直後のニューヨークを舞台に、ファミリービジネスの究極のカタチをイタリア系マフィアの姿を通じて描いている。第45回アカデミー賞作品賞・主演男優賞(マーロン・ブランド)・脚色賞受賞作品。

前近代的と言えるのかも知れないが、本作は男という生き物を頑に描いている。何よりも重きは礼であり、そこから生まれ育まれる絆。日本式に置き換えるなら義理・人情や仁侠といったところだろう。

但し、それを守る為には、いかなる手段もいとわない。「目には目を」の精神は血で血を洗い、どこまでもエスカレートして行く。

本作には二人の主人公が存在する。一人目はビトー・コルレオーネ。コルレオーネ・ファミリーの礎を築いた偉大なるドンであり、本作の出発点であり基盤となる絆を強く意識させる人物だ。この大物をマーロン・ブランドが貫禄たっぷりに演じる。

二人目はアル・パチーノが演じるビトーの三男、マイケル・コルレオーネ。彼が本作の中盤以降の主人公だ。彼が主人公になった時点で、本作は深みにはまって行く。変わり行くアル・パチーノの演技は本作の見どころのひとつと言えるだろう。

その他の多数の出演陣も個性派揃いで、実に良い味を出している。どことなくマーロン・ブランドの面影を感じる、ビトーの長男ソニーを演じるジェームズ・カーンは、まさにうってつけなのではないかと思う。

そんなマフィアの中でインテリジェンスを光らせる、ロバート・デュヴァル演じるトムがバイオレンスへの傾倒に歯止めを掛ける。そして、ダイアン・キートン演じるケイの存在が、本作で唯一の揺るがない良心だ。ラストシーンの彼女の表情が、この先に続く暗雲を物語っている。

何でも、サッカーのキング・カズこと三浦知良が本作の大ファンらしい。彼が本作のどこに魅了されたのかは知らないのだが、ソフト帽にサスペンダーのスーツ姿でバッチリ決めるレトロな味わい、影や闇を強調するような映像、豪華で重厚な雰囲気は観ているだけでその気にさせられるだろう。そんな中でも食のシーン等、イタリア系の気質とも言えるような陽気さや家庭的な人間味を感じる場面も多い。

恐ろしくも誠実な、だからこそ切ない群像劇が繰り広げられて行く。


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