自分勝手な映画批評
恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ 恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ
1989 アメリカ 109分
監督/スティーブ・クローブス
出演/ジェフ・ブリッジス ミシェル・ファイファー ボー・ブリッジス
夕刻、タキシードに着替えて女の部屋を後にしようとするジャック(ジェフ・ブリッジス)。手がステキだと誉められた彼の職業はピアニストだ。

ビターな大人たちのプレリュード

ピアノ演奏で生計を立てる兄弟と、そのデュオに加わった女性歌手とが繰り成す人間模様を描いた作品。本作で兄弟を演じるボー・ブリッジスとジェフ・ブリッジスは本当の兄弟。

社会性を持ち現実を守ろうとする兄とニヒルでありながら現実を保とうとする弟。そこに、はすっぱではあるが魅力的な女性が加わり化学反応が生じる。

もうベストは望めない。ベターしか選択肢は残っていない。しかし、その選択肢がベターなのかといえば、そのゆくえも判らない。中年男性が迎えた人生の分岐点は、年齢を考えるとあまりにも無計画で幼稚な判断に思えるかもしれないが、現実離れしているとも思えない。彼が歩んだ今までの人生があるからこそ迎えた分岐点であり選択肢なのだと思う。

ジャズをフィーチャーした点からも、お洒落なテイストで包まれた作品だと言えるが、その最たるは弟ジャックだと言えよう。ライフスタイルはもとより、ニヒルで言葉足らず、あるいは言いたいことを違う言葉で置き換えるようなキャラクターは洒落が効いており、大人の男の色気が漂う。そのスタイルが単なる上辺だけではないのは彼の人生が反映しているからであって、安っぽいキザにならないのは演じるジェフ・ブリッジスの存在感と演技力と言えるだろう。

ミシェル・ファイファーの歌唱は吹き替えなし、彼女自身が歌っているそうだ。歌が上手いか下手かは別にしても、しっかりと魅力を振り撒き、説得力があるのは彼女が優れた演技者である証であろう。正直、スージーという役は想像の範疇を越える役柄ではない。しかし魅力的に感じるのはミシェル・ファイファーならではなのだと思う。

行き場を失ったマイ・ファニー・ヴァレンタインが切ない。



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