自分勝手な映画批評
カメレオン カメレオン
2008 日本 97分
監督/阪本順治
出演/藤原竜也 水川あさみ 塩谷瞬 豊原功補
路上で占いの店を開く佳子(水川あさみ)。伍郎(藤原竜也)は「老後が心配」と彼女に手を見せる。

蘇る優作イズム

詐欺師のグループがある現場を目撃したことから、思いもよらない怒濤の中に巻き込まれて行くクライムアクション。脚本は松田優作に馴染みの深い丸山昇一。元々本作は松田優作の為に書かれた脚本を現代風にリメイクしたらしい。

この作品誕生の経緯は本作に大きな影響を及ぼしている。何と言っても本作は松田優作のアクション作品をイメージさせる。脚本はもちろんだが、演出、さらには主演の藤原竜也にもその意識は強く感じる。そういった面では松田優作のアクション作品が好きな方には懐かしみも込めて楽しめる作品ではないだろうかと思う。

演劇一座の裏稼業が詐欺師グループなのは何ともユニークな設定だ。変幻自在な詐欺師をカメレオンになぞらえるのも奇知があって良い。ただ、これらのアイデアを新しいと感じるのではなく、どこか懐かしく感じてしまう。そんな雰囲気が漂う世界で描かれる昔ながらの人情は、忘れていた温もりを思い出させる。

本作では藤原竜也のかなり独特な個性を認識出来る。優作を意識しながらも、それに打ち消されることなく藤原竜也の色もしっかりと出ている。彼もまた希有な俳優と言えるだろう。


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