自分勝手な映画批評
グローリー・ロード グローリー・ロード
2006 アメリカ 118分
監督/ジェームズ・ガートナー
出演/ジョシュ・ルーカス デレク・ルーク サム・ジョーンズ3世
1965年。高校女子バスケットボールのコーチをしていたドン・ハスキンズ(ジョシュ・ルーカス)はテキサスウエスタン大のコーチに就任した。しかし予算のない弱小チームに優秀な選手は集まらない。

バッド・イズ・グッド

人種差別が根強く残る時代では異例の黒人選手を多く擁した大学バスケットボールチームの奮闘を描いた実話を元にした作品。想像だがアメリカでは有名な話なのではないかと思う。ブザービーターの取り消しなどは有名なエピソードのようだ。

ユニークだと思ったのは、人種差別撲滅という大儀が本作の出発点ではないところだ。大学のバスケットボールチームのコーチに就任した主人公ドンはチームを強くする為に黒人選手をスカウトする。それはヒューマニズム的な主義・思想ではなく、スポーツマンとしての主義・思想なのだ。最高のプレーをする選手を試合に起用する。指導者としては、ごく当たり前の考えだ。

競技スポーツにも性別や年齢などの参加資格といった差別は存在するのだが、参加した選手は競技に関して、優越なく平等な立場である。ならば競技に関して人種による差別など毛頭ありえないということになる。あくまでも選手の優越はパフォーマンスで決まる。コートに人生を捧げたスポーツマンシップを固持する男は、図らずも平等の精神の持ち主だったのではないだろうか?

集められた黒人たちも受け入れる白人たちも、まだ大学生。最初は戸惑いながらも、若さは垣根を容易く越えられるパワーと柔軟性を持っている。しかし現実は甘くなかった。明らかになるそれぞれの苦しみ。スポーツの清々しさと人種問題の醜さという反目しあう大流がクライマックスに向けて加速する。

R&Bやソウルを主体とした音楽も作品のテンポに一役買っている。ジョシュ・ルーカスの叫びは、まさにコーチそのものだ。


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