自分勝手な映画批評
ヘルプ!4人はアイドル ヘルプ!4人はアイドル
1965 イギリス/アメリカ 92分
監督/リチャード・レスター
出演/ビートルズ
カイリ教の司祭クラング(レオ・マッカーン)は、儀式で生贄を殺そうとするのだが、生贄が、その条件である指輪をはめていない事を側に仕えるアーメ(エレノア・ブロン)に指摘され、儀式を取り止める。彼らは指輪をビートルズのリンゴ・スターの持っている事を知り、英国へと向かう。

ビートルズの指輪物語

ビートルズのメンバー、リンゴ・スターの持っている指輪がきっかけでビートルズが巻き込まれる騒動を描いた作品。

現代では、およそ製作される事はない類いの映画ではないかと思う。この手の作品は、ミュージック・ビデオに取って代わったと言って良いだろう。ただ、本作と同名のアルバムから何曲も作中で実演されている点は、ひとつの曲を元に製作されるミュージック・ビデオよりも贅沢だと言えるだろう。そして何より、彼らの演奏する映像は、もはや貴重であり、それだけでも一見の価値はある。

作風を極めて単純に言い表わせば、ドタバタなコメディーであると言えるだろう。だが、随所にエッジの効いたシニカルでブラックなユーモアがちりばめられており、単なる悪ふざけでは終わっていない。その辺りは制作者のセンスであると言えるだろう。

さらには、本職ではないビートルズの演技も、悪ふざけの傾倒への歯止めになっているのではないかと私は思う。これが本職の役者ならば、その巧みな演技力ゆえに、悪くすれば独りよがりな方向に向かってしまう可能性もあったであろう。ギリギリのところで留まらせるバランス感覚は優秀であると言えるだろう。

映像も素晴らしく、鮮やかな色彩、トリッキーな演出や編集等、アーティスティックに感じさせる面も多々備わっており、楽しめる作品である。


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★前田有一の超映画批評★

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