自分勝手な映画批評

パッセンジャーズ パッセンジャーズ
2008 アメリカ 93 分
監督/ロドリゴ・ガルシア
出演/アン・ハサウェイ パトリック・ウィルソ ン デヴィッド・モース
旅客機の墜落事故が発生する。連絡を受け現地に向かったセラピストのクレア( アン・ハサウェイ)は生存者のカウンセリングを担当する事になる。

さまよえる魂の行く末

旅客機事故に遭遇 した人々を描いたミステリーでありファンタジーでもある作品。

ショッ キングな出来事の瞬間の記憶というのは随分と曖昧なものなのかも知れない。私 自身、ちょっとした事故を経験しているのだが、その時の記憶が曖昧になってし まっている。私の場合、大事故ではなく、記憶を呼び起こす必要性もなかったの だが、わずかではあるにせよ、繋がらない記憶というのは気味の悪いものだ。

本作はそこが出発点となる。とにかく設定とストーリー展開が巧妙だ。大事故が 起き、事故のショックによって錯乱する精神状態、そこから辿る不確かな記憶。 これらの要素を上手く絡み合わせてミステリーが構築される。

物的証拠 を拾い集めて謎解きをする訳ではない。カウンセリングを必要とする精神状態の 被災者の記憶が頼りのミステリーは、いとも容易く壁にぶち当たる。しかし、そ の事が次への扉へと繋がって行く。

セラピストのアン・ハサウェイと彼 女にカウンセリングを受けるパトリック・ウィルソンの相対する立場の不思議な コンビネーションが良い。二人の関係性が先導する本作の道筋は、観ている者を 知らずとあらぬ方向へと誘って行く。


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