自分勝手な映画批評
プライドと偏見 プライドと偏見
2005 イギリス 127分
監督/ジョー・ライト
出演/キーラ・ナイトレイ マシュー・マクファディン

語り継がれる名作の映像化

日本の時代劇は学校で日本史の勉強をしていたり、意識していなくても現代に引き継がれた風習や文化があるので、予備知識がさほどなくても割とすんなりその世界観に入れるのだが、外国の歴史モノというのは予備知識なしだとなかなか厳しかったりする。特に欧米の歴史モノはその時代背景が欧米では当たり前だったり、あるいは原作となる物語が有名なので、特に説明もなく物語が進んでいってしまうのでついていけないことも度々ある。現代とかけ離れた、理解し難い風習や文化が受け入れられないと言ってしまえばそれまでなのだが、それではもったいない。本作の大雑把な予備知識として当時の女性の社会的な地位が低いこと、自立は厳しく、だから結婚に固執するということを頭に入れておいたほうが良いだろう。

本作は何度も映像化されている有名な小説が原作である。本作(本映画)で描かれているのは、人間の芯の強さなのではないかと思う。時代に左右されない真摯で誠実な生き方。その生き方は時代が変わっても、いつの時代でも賞賛される生き方であろう。だからこそ、愛され続ける物語なのではないかと思う。さらには主人公2人の関係の歯がゆさが物語の魅力を増幅させている。

キーラ・ナイトレイは芯の強い女性が良く似合う。しかし鉄の女にならない。彼女の備え持つ繊細さは、健気な主人公の人物像を作り上げている。マシュー・マクファディンが演じる嫌味ない純朴な名士も良い。主要の2人の真面目な印象に対し、脇役陣はユーモラスだ。父親役のドナルド・サザーランド、母親役のブレンダ・ブレッシン、コリンズ役のトム・ホランダーは特にイイ味を出している。

ヨーロッパの歴史作品で見どころのひとつは美しく豪華な衣装や美術であろう。本作も多分に漏れず、綺麗な世界観を満喫できる。また、ワンシーンを長くし、その中でのカメラの移動も大きいので視覚的に奥行きを感じとれ、空間的な優雅さを演出している。


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