自分勝手な映画批評
昼下りの情事 昼下りの情事
1957 アメリカ 134分
監督/ビリー・ワイルダー
出演/オードリー・ヘプバーン ゲーリー・クーパー モーリス・シュヴァリエ
音楽を学んでいるアリアーヌ(オードリー・ヘプバーン)は探偵である父(モーリス・シュヴァリエ)と依頼人の話を盗み聞きする。その依頼人は妻との浮気相手であるフラナガン(ゲーリー・クーパー)を殺そうと目論んでいた。

誘惑のワルツにのって

タイトルだけ見ればエロティックで怪しい感じがしなくもないが、内容はロマンティックなラブコメディである。

この手の作品はハリウッドの専売特許のように思える。これはチャップリンに代表されるサイレント(無声)映画からの産物、あるいはその手法を継承しているなのではないかと感じる。それは表現手段を言葉だけではなく、動作や表情にも重きを置いている点である。そしてその動作や表情だけで充分伝えられる点である。まさに無口な四人の楽団はその最たるであり、彼らとゲーリー・クーパーとのシャンパンのくだりは実にユーモラスだ。オードリー・ヘプバーンの金庫の開け方もそうである。

幾分、現実味がなくチープに感じてしまうかもしれないが、まるで不思議の国に来たようなトキメキとロマンティックなムードを感じずにはいられない。それはコミカルさに基づいた楽しませようという姿勢の表れであり、ヘプバーンはキュートなコメディアンヌとも言えよう。それは演技・演出にとどまらず、ストーリー自体にも言えることである。

プレイボーイと健気な乙女心の駆け引きとその結末。多意味を含む「おしゃれ」という言葉で形容できるであろうが、ロマンティックを味あわせて充分に楽しんでもらおうという作り手の思慮が大いに感じられる。


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