自分勝手な映画批評
エンゼル・ハート エンゼル・ハート
1987 アメリカ 113分
監督/アラン・パーカー
出演/ミッキー・ローク ロバート・デ・ニーロ

センス溢れるサスペンス・スリラー

1955年、私立探偵が謎の人物からの依頼で人気歌手の消息を追うサスペンス。

ロバート・デ・ニーロとミッキー・ロークはある意味、対極にある俳優と言えるであろう。ロバート・デ・ニーロはデ・ニーロ・アプローチと呼ばれる徹底した役づくりで作品・役ごとに多彩に変化する俳優である。本作でも髪・髭・爪を伸ばし、謎の人物を妖しく演じている。

一方、ミッキー・ロークは自らの個性で役を演じる俳優であろう。ロークの演技の特徴は彼の持つアウトロー的要素を生かした真実味だろう。よれたスーツ、ベルトの巻き方、メガネの掛け方、マッチのつけ方等、ともすればやりすぎとも思え、違う役者がやれば安っぽくなってしまいそうだが、ロークの振る舞いは様になっている。己を知り己の見せ方を知っている。これこそミッキー・ロークの真骨頂である。

当時のロークはセクシーの代名詞のような存在だった。笑顔が健康的な人物もセクシーと称するが、彼の場合は性を感じさせるセクシーさだろう。そのセクシーさだけでも立派な存在感なのだが、宗教・魔術といった暗い雰囲気、血なまぐさい描写、要所に描かれるネイティブなブラック・ミュージックのグルーヴとが上手く呼号し生々しさが一層強くなる。

味付けだけでも十分魅力的だが本筋のストーリーも精神的・心理的恐怖を感じさせる秀作である。


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★前田有一の超映画批評★

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