自分勝手な映画批評
栄光のライダー 栄光のライダー
1971 アメリカ 89分
監督/ブルース・ブラウン
出演/マルコム・スミス マート・ローウェル スティーブ・マックイーン
キックペダルを踏み込みエンジンを始動させ、巨体の男が小さなオートバイに乗って走り去って行った。

とにかく挑戦することに意味がある

様々なオートバイ競技の様子を映し出したドキュメンタリー作品。

オートバイの競技と言えばレースであり、日本でポピュラーなのはロードレースやモトクロスのレースであるだろう。本作でもロードレース、モトクロスレースも取り上げているのだが、それ以外の競技も多種に渡って取り上げている。そういった意味では、あらゆるオートバイ競技を紹介する作品、もっと言えばオートバイ競技を啓蒙するような作品だと言えるのかも知れない。同時に外国、特にアメリカでオートバイが文化として根付いている事を実感させられる作品だとも言えるだろう。

本作の見るべきところは、日本ではあまり目にする事のない競技のシーンであるだろう。中でも、比較的時間を割いて描かれている、まるで暴れ馬を乗りこなすように横滑りするマシンを巧みに操るダートトラックレースの大迫力の映像は本作の大きな見どころである。

他にも長時間を要するオフロードのラリーレースであるメキシカン1000(Baja1000)やエル・エスコリアル、大人数のライダーが参加するエルシノア・グランプリや南西部でのデザートレース、サイドカーレースやドラッグレースにトライアル、カナダのケベックで行われるノコギリのようなスパイクタイヤを履いて行う見るも危険なアイスレースや世界最速のインディアンの舞台にもなったボンネビル・スピードウェイでの世界最高速に挑む大会、ソルトレイクシティーで行われる標高180メートル、斜度45度の急坂を掛け登るヒルクライムといった様々な競技の模様も概要を説明しながら、時にユーモアも交えて紹介している。

作中で主にピックアップされている人物はマルコム・スミス、マート・ローウェルの二人の本職のライダーである。但し、スティーブ・マックイーンも所々に登場している。フィクションの中でマックイーンのライディングを堪能出来る作品はあるが、演出の届かないプライベートな素の状況でマックイーンのライディングを見られるのは本作の大きな魅力であるだろう。特にラストの美しいフリーライディングのシーンは必見である。

内容が内容だけに観る者を選ぶ作品なのかも知れない。しかし、オートバイに興味がない人でも十分に理解し楽しめる作品であるだろう。そして、オートバイファン、モータースポーツファンにとっては、古い作品ではあるのだが、大変価値のある作品であり、押さえておくべき作品ではないかと思う。


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