自分勝手な映画批評
エクスペンダブルズ エクスペンダブルズ
2010 アメリカ 103分
監督/シルベスター・スタローン
出演/シルベスター・スタローン ジェイソン・ステイサム エリック・ロバーツ
ソマリアのアデン湾に停泊中の船に海賊が人質をとって潜伏していた。海賊が身代金要求のメッセージをビデオ撮影しているところに、傭兵部隊エクスペンダブルズが現れた。

もう、そんなに素早くないぞ

作品タイトルのエクスペンダブルズとは消耗品の意味らしい。このネーミングが出演者たちを指している事は容易に想像がつく。

自らを心得ていると言ったら余りにも失礼なのかも知れない。ただ、あえてエクスペンダブルズと銘打つ謙虚な姿勢には好感が持てるし、また、自虐な洒落っ気はマッチョを揃えたキャステングには似つかわしくないセンスを感じさせる。但し、内容自体は存分にマッチョ。マッチョであるにもかかわらずエクスペンダブルズ。そんな儚い美学が本作の見どころであるだろう。

少数精鋭の私設傭兵部隊エクスペンダブルズ。彼らはブルース・ウィリスが演じるチャーチと名乗る謎の男から、メキシコ湾の小島、ヴィレーナ島を牛耳る将軍を始末する仕事を依頼される。その依頼を受諾するか否かを見極める為、とりあえず偵察としてシルベスター・スタローン演じるロスとジェイソン・ステイサム演じるクリスマスは、自然保護団体の人間に装い島に上陸する。

本作の注目は、やはりアクション俳優を多く揃えたオールスターなキャステングであろう。ただ、オールスターキャストという触れ込みには少なからず疑問が残る。口が悪いのを承知で率直に言えば、現役のオールスターというよりも、往年のスターを集めたマスターリーグやシルバーリーグのような印象は否めない。もっとも、そういったキャスティングだからこそエクスペンダブルズとして成り立つとも言えるだろう。

だが、それでも魅力的なキャスティングである事には変わりない。このキャスティングの最大のポイントは、シルベスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリスが顔を揃えた点であるだろう。キャラクターに重なる部分が多く、共に当時のアクション作品界を牽引していたライバル、スタローンとシュワルツェネッガーの共演は奇跡のような顔合わせであり、さらには、彼らに引導を渡したような存在のウィリスも加われば、まさに夢のまた夢のような豪華さである。

ここに、ジャッキー・チェン、スティーヴン・セガール、ジャン=クロード・ヴァン・ダム辺りも加われば、さらに完璧なキャスティングになったであろう。特にジャッキー・チェンは、このメンバーの中で見たかったと切実に思う。

個人的に嬉しかったのは、スタローンとドルフ・ラングレンの共演だ。両者は「ロッキー4/炎の友情」で共演している。ロッキーの対戦相手ドラゴ役が強烈な印象として残るラングレン。マニアックな見方にはなるだろうが、本作での両者の関係が、そのままロッキーとドラゴの成れの果てにも思えてくる。

但し本作は、オールスターキャストを十分に活かしているとは言い難い。シュワルツェネッガーとウィリスの出演が1シーンのみ、顔見せ程度であるのは大きな肩透かし。他のキャストも、それなりに見せ場もあるのだが程度の差があり、必ずしも全員が美味しい描き方はされてはいない。

そういった事を踏まえてみると本作は、オールスターキャストを並べ、彼らに配慮はしているものの、あくまでも監督・脚本も兼ねるスタローンの映画だと言えるだろう。そもそも、これだけの人数を集めて上手い具合に時間内に収めるのは到底無理があり、このような舵取りになったのも仕方がないだろう。

スタローンが描き出した物語は、やはりストロングスタイルだ。マゾヒズムと背中合わせのヒロイズム。男は困難に立ち向かうからこそ男であり、要領の良さなど男にとって邪道でしかないと言わんばかりにストイックな男道を追求している。

これはスタローンの原点だとも言うべき「ロッキー」から一貫している彼の美学ではないかと思う。それは現代の感覚では、少し異質なのかも知れない。ただ、あえて往年のキャスト、偉大なファイターたちが演じる事で意味を成し、説得力が与えられているのだと思う。そして、このスピリッツは日本式で言うところの浪花節にも通じているように思う。

キャステングで唯一不可解だったのはミッキー・ロークだった。彼はアクション俳優ではないだろう。但し、彼にはプライベートでのプロボクサーとしてのキャリアがある。それが影響してのキャステングかと思ったのだが、本作で彼にはアクションシーンはない。どうやら彼の不遇時代、スタローンが映画で使ってくれた事への恩義が本作への出演の動機だったらしい。

本作のキャステングは、単なる賑やかしという事ではなく、そういったスタローンの男気も影響しているようだ。もちろん、そんな事情は作品内容には一切関係ないし、左右されるべきではないだろう。ただ、少し型遅れな作風、しかし、現代では忘れかけつつあるストレートでエネルギッシュな魂は、作中だけには留まらない男気、浪花節の土壌があるから成立しているのかも知れない。


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