自分勝手な映画批評
アフタースクール アフタースクール
2008 日本 102分
監督/内田けんじ
出演/大泉洋 佐々木蔵之介 堺雅人
会社に出社したはずの木村(堺雅人)の行方がわからなくなる。木村の捜索の依頼を受けた北沢(佐々木蔵之介)は木村の母校の中学校を訪ねるのだが…

甘くみてたわけではないが… ダマされました

とにかくストーリーが最高だ。クライムサスペンスとして申し分ないよく錬られたストーリー展開、しかも複雑ではあるが、あくまでも本筋がメインであり、複数のストーリーを絡ませて小難しく捏ねくりまわしていないので、グイグイと自然に引き込まれていく。また、この手の作品だとセンスが良いと言われるような映像と音楽でテンポを持たせ、いわゆるオシャレという作品にも仕上げられそうだが、あくまで事の進行と人間関係に重きを置き、さらには日本人的な情緒を感じさせるのも良い。

この優れたストーリーには役者の演技力が不可欠なのだが、その点も申し分ない。主役3人を含めた俳優陣の多くが、決して地味ではないのだが、いかにもスター然とした派手なキャラクターではなく、脇役でもキラリと光る演技と存在感を示す俳優であり、そういう俳優をキャスティングしたことが良い作用を生んでいる。

熱い演技力の応酬といった類いの作品ではなく、あくまでもストーリーで引き付ける作品なので、ストーリーの焦点をブレさせるような過度な自己顕示はいらない。だからといって役者の演技に何も引っかかるモノがなければ本を読んでいるのと同じになってしまう。彼らはストーリーの中にきっちりはまり込み、なおかつ、それぞれの持ち場でしっかりと独自の個性を見せてくれる。それは限られた時間で存在感を示す脇役ならではのスタンスのようである。出過ぎず出なさ過ぎず、さらりストーリーと呼応し、しかし、しっかりと持ち味を出す。このバランスが絶妙であり、ストーリー、演技、そして演出とが上手く融合したエンターテイメント作品に仕上がっている。


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