自分勝手な映画批評
あしたの私のつくり方 あしたの私のつくり方
2007 日本 97分
監督/市川準
出演/成海璃子 前田敦子 高岡蒼甫
中学受験でしばらく学校を休んでいた寿梨(成海璃子)が久々に登校すると、それまで人気者だった日南子(前田敦子)がいじめられっ子になっていた。

最後はきっとハッピーエンド

ヘンテコではあるが名は体を表す良いタイトルだ。イジメられている人間の視点じゃないのが驚くが、それぞれ多くの普通の人が色々と抱えているものだろう。空想の物語のハッピーエンドを願う事自体、残念ながら不幸なのだ。

子供の頃、親に何かお願いする時、「みんなやってるから」「みんな持ってるから」ってよく言ったものだ。すると必ず「みんなって誰だ!」って言われた。子供の価値観は揺るぎない。絶対的経験値が少ない分YES・NOがはっきりしている。そして価値判断の基準は「みんな」である事も多い。しかし年齢を重ね多くを経験するにつれYES・NOがあやふやになり価値観が揺らいでくる。自我が芽生え個に対する欲求が生まれる。成長するのは容易い事ではない。目先だけを変えて成長を偽装する事もできる。ある意味、本作の主人公のように。しかし夢物語のハッピーエンドではなく地に足つけてハッピーエンドを願うのなら、それは間違い無く成長だろう。

効果的に自然の緑が用いられており、本作で描かれる若者は若草や若葉といったイメージであろう。瑞々しく、でも弱々しく危なっかしい。そう考えると多少つたない演技も魅力的に感じる。比べて大人達の演技には安定感がある。石原真理子と奥貫薫の母親像の違いは面白く感じた。

望遠レンズを駆使して自然な演技を収めたらしい。だからこそ非現実的なシーンは特出する。

校庭のけやきの枝が懐かしい。


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